UMCエレクトロニクス「清算済みメキシコ子会社」に33億円納税命令【4月15日「適時開示」ピックアップ】

東証プライム上場で、主に車載電子機器の受託製造を展開するユー・エム・シー・エレクトロニクス(UMC、埼玉・上尾市)は4月15日、メキシコ子会社の納税をめぐって、同国の税務当局から約33億円の納付を命じる裁決を受けたことを発表した。

納付を命じる更正決定通知を受けたのはUMCの連結子会社、UMCメキシコ(UMC Electronics Mexico, S.A. de C.V)。昨年11月に2020年度の税務申告について、申告所得を更生したうえで516万メキシコペソ(当時のレートで約39億円)の納税を命じる通知をメキシコの税務当局から受けていた。

しかし、UMCはこれに対し不服申し立てを行ってきたが、今回、当局側はUMCの申し立てを退け、463 百万ペソ(約33億円、現在のレート)を納付するよう求めている。なお、当局の裁決にさらに不服を申し立てる場合は、30営業日以内に税務裁判所へ訴訟を提起することになるというが、UMC側は対応方針が決定次第、速やかに開示するとしている。

メキシコ子会社は4年半前に“清算”を決定済み

ところが、巨額納税が命じられているUMCメキシコについては、今からさかのぼること4年半前の20年10月、UMC本体の取締役会ですでに解散、清算することが決定しているのだ。

このメキシコ子会社は16年5月に資本金19億円で中国、ベトナム、タイに続く4カ国目の海外拠点として設立。約16億円を投じて新工場を建設して17年7月から操業を開始していたものの、赤字から脱却できないまま、20年3月期時点で債務超過に転落。これを受けての撤退決断だった。事実、今のUMCの公式ホームページでは海外拠点には含まれていない。

すでに清算発表から4年以上が経っての海外子会社の課税問題。メキシコ当局側からすれば、撤退に伴う“立退料”の請求のようにも見えるが、グローバル展開上の大きなリスクと言えそうだ。

【UMC】不服申立てに係るメキシコ税務当局からの裁決に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250414515293.pdf