オリエンタルチエン工業に「資本金1000万円」化粧品関連企業“大株主”が社長ら4名の解任請求【2025年3月17日「適時開示ピックアップ」】

スタンダード上場で産業機械向け伝動用ローラチェーン製造のオリエンタルチエン工業(石川・白山市、西村武社長)が大株主から臨時株主総会の招集を請求されたことを発表した。

【オリエンタルチエン工業】株主による臨時株主総会招集請求に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120250316594725.pdf

プロパー取締役総退陣で4名の新取締役を提案

今回、オリエンタルチエンに臨時株主総会の招集を請求したのは、東京・港区に本社を構える「沖縄サンアール」なる未上場企業。昨年9月末現在、同社はオリエンタルチエン株式の4.08%を保有している。

沖縄サンアールは、オリエンタルチエンの西村社長はじめ、石尾俊明常務、製造管理部部長の中村智丈取締役、営業部部長の吉田一也取締役らプロパー4取締役の解任を求めている。その代わりに以下の4名の取締役選任を提案している(経歴は沖縄サンアール側の臨時株主総会招集請求書を参照)。

深野隆也氏:1984年生まれ。株式会社ロビンソン代表。沖縄サンアール側の資料によると、マーケティングに10年以上携わってきているという。

相良健志氏:1965年生まれ。証券界出身で03年に株式会社Noah's planning(現DIRECTION)入社。現在は重要な兼職先なし。沖縄サンアール側の資料によると、ファイナンス業務における豊富な知見と経験を有するとしている。

櫻井重彰氏:1953年生まれ。証券界出身で現在、株式会社情報システム総合研究所社長。バイオセラミック株式会社代表。大手証券会社の事業法人部での所属経験から多くの企業と関わりを多く持つという。なお、沖縄サンアール側の資料では、77年日興証券(現SMBC日興証券)、81年光興業(現昭光通商)、87年第一証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社し、97年にはティー・シー・シー(現CAICA DIGITAL)に転じた経歴となっている。

湯川洋兒氏:1951年生まれ。株式会社ナレッジキャピタル代表。元朝日ライフアセットマネジメント常務。沖縄サンアール側の資料によると、20年以上、VC(ベンチャーキャピタル)ファンドを運営、投資先8社を上場させた実績があるという。

東京・浜松町が本社の化粧品開発企業

そもそも、沖縄サンアールが臨時株主総会の招集を請求したのは、オリエンタルチエンの業績が「下降の一途を辿るのみ」(招集請求書)という状況を危惧してとのこと。そして、「既存事業の立直しを図るとともに、新規事業の立上げによる新たな収益の柱を創出することが急務」だが、「もはや現業務執行取締役に対し、それらを期待することはできません」という。

当のオリエンタルチエンの業績はというと、24年3月期は前年横ばいの売上高40億円、営業利益2億円、経常利益2.1億円、純利益は1.4億円と23年3月期を上回る内容で着地。ただ25年3月期は、沖縄サンアール側の指摘の通り、さる2月に全指標で業績予想を下方修正させている。

ちなみに、沖縄サンアールの公式サイトと思しきホームページを見ると、代表は菊池妙佳氏、資本金は1000万円、化粧品の開発・企画・輸入販売を事業内容としているという。

1947年創業の石川地場のメーカーに取締役解任を仕掛けてきた資本金1000万円の化粧品関連企業。株主アクティビズム(株主行動主義)の高まりの中で、当の発行体企業は株主からこんな“提案”を受けることを予期していたのであろうか。なお、3月18日10時半の時点でオリエンタルチエンの株価は前日終値比33円安の1851円を付けている。