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【米国「フロードスター」列伝#4】シティグループで25億円横領した“ジャマイカから来た元少年”

募る恨みと復讐心

シティグループでのキャリアを順調に積み重ね10数年経ち、フォスターはアシスタントVPに昇格。彼の仕事は主に大手銀行との取引に関するもので、巨額の資金を日常的に動かしていた。銀行内での人間関係は良好で、周囲からも信頼を得ていた彼は職場に満足していたのだった。

しかし、ある日、彼はオフィスのプリンターのそばに置き忘れてある紙を目にする。それは、自分の部下の給与明細であった。それを偶然目にし、衝撃を受ける。なんと、その部下の方が自分より1万ドルも高い給料を受け取っていたのだ。一気に彼の中で憤りがとめどなく湧き上がった。

「なぜ、これまで一生懸命働いてきたのに……」

フォスターは職場に対して抱いていた忠誠心が突然裏切られたような気持ちになったという。

恨みが募る中、あることがきっかけで、彼は不正スキームを思いつく。シティグループの未整理の口座に、2001年9月11日アメリカ同時多発テロ事件(9.11)の混乱時に発生した残金を見つけたのである。

彼曰く、このような残金の処理は日常業務の一環であり、めずらしいものではなかった。そこで彼は、その残金を自分の口座に移す、すなわち横領することで、職場に対する“復讐”を果たそうと考えたのだ。

「純粋な復讐だった。私の性格上、もし誰かが私を叩けば、私は彼を倒して二度と戻ってこられないようにする」

怒りの感情に突き動かされた彼は自分の行為が犯罪であることを認識していたものの、そのスキームを実行に移すことを決める。

ジャマイカ人移民の少年が抱いたアメリカンドリームとそ…
9.11後の残金の行方と不正の手口 フォスター…
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