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【米国「フロードスター」列伝#4】シティグループで25億円横領した“ジャマイカから来た元少年”

ジャマイカ人移民の少年が抱いたアメリカンドリームとその実現

ゲイリー・フォスターは、カリブ海の島国ジャマイカの、外界とはほとんど接点のない、自然に囲まれた小さな山村で生まれ育った。牧歌的ともいえる自給自足の穏やかな地域で幼少期を過ごした彼には、大きな夢があった。それは、アメリカで成功することだった。

1987年、彼は家族とともにアメリカ・ニューヨーク市近郊へ移住する。当初、彼にとって大都会での生活は困難で不快なものだった。移住して2年経ち、都会生活に慣れ始めた頃、彼は自転車でブルックリン橋からマンハッタンへと走っている時、ウォール街を“発見”した。

そこは言わずと知れた世界経済・金融の中心地。映画「ウォール街」(1987年、オリバー・ストーン監督)のオープニングでも描写されるような、スーツ姿の人々が闊歩する、熱気溢れるこのウォール街に、フォスターはたちまち魅了され、将来はウォール街で働くことを目標とし、そのために努力を重ねることを決意したのだった。

彼は高校卒業後、ニューヨーク市のベッドタウンであるニュージャージー州の、パブリックアイビーのひとつと称されるラトガーズ大学で会計学を専攻した。彼は大学生活を謳歌していたが、学業に苦労することもあった。というのも、視力が悪いことを自身の弱点と捉え、その弱点をさとられたくないあまり周囲に視力のことを伏せていたという。そのことが学業にも影響を与えることもあったと彼は後に語っている。

そして、大学卒業に伴い就職活動をするも、その視力の問題もあり面接がうまくできず、就活は難航した。ニュージャージー州の企業に派遣社員として雇われたものの、そこでフォスターは生まれて初めて人種差別ともとれる理不尽な対応を受けたばかりか、初日で解雇されてしまう。

しかし顔の広い母親の知人の伝手で、同州を拠点とするサミット・バンコープ銀行(後にフリート銀行に買収され、現在はバンクオブアメリカ)に職を得た。そして、この銀行での経験を足掛かりにし、最終的に、世界的なシティグループへの転職を果たす。

今回は、本誌「Governance Q」と公認不正検査士協…
募る恨みと復讐心 シティグループでのキャリアを…
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