【米国「フロードスター」列伝#2】国際サイバー犯罪の元祖インターネットのゴッドファーザー

ダークウェブ市場の原点

最初の大きな転機は、世界的オークションサイト「イーベイ」(eBay)でニセの物品を販売するインターネット詐欺だった。

その手口として、まずインターネットで、ある商品の画像を入手する。 次に、その画像を使って出品する。そして、商品の落札者には郵便為替で支払うよう伝え、ニセの商品または粗悪な模造品を発送する。落札者が苦情を申し立てた場合、対応を引き延ばして最終的に諦めさせる。

このように、被害者の顔を直接見ることなく詐欺行為を行うことができたため、罪悪感は薄れ、彼はインターネット詐欺に味をしめた。

やがて彼はインターネットの利便性を最大限に活用し、大規模な詐欺ネットワークを構築する。それがサイバー犯罪者のネットコミュニティ「シャドウ・クルー」であった。

そこは、クレジットカード詐欺、IDの偽造と販売、被害者から情報を引き出す心理的な手法“ソーシャルエンジニアリング”による詐欺など、個人情報の詐取を専門とする悪の巣窟。

匿名で情報を売買できる“安全な”フォーラムがあり、ジョンソンは、個人情報売買の取引を管理し、フォーラム内での信用度を高めるため、取引相手の評価やレビューを行う仕組みを構築し、自らも盗んだ情報をもとに詐欺を実行していた。

このように、他のサイバー犯罪者たちとの協力体制を整え、ジョンソンはハンドルネーム「ゴラムファン」(『指輪物語』の登場人物ゴラムに由来すると思われる)と名乗り、世界中で行われるサイバー不正行為の中心に立つ。

彼のつくり上げたこの組織は、ゴラムのごとく今なお暗い地下に蠢き、ダークウェブ市場の原点と言われている。