毒親に育てられた“万引き家族”
アメリカの東部、南部、そして中西部に囲まれた「経済と文化のクロスロード」ケンタッキー州。ブレット・ジョンソンはその東部の貧しい地域に生まれ育ち、暴力的な母親と無力な父親の歪んだ関係を目の当たりにしながら幼少期を過ごした。
パーティーに明け暮れ、平然と夫の目前で情夫を家に連れ込む母親、そんな妻に追い縋り泣くばかりの父親……。そんな劣悪というべき家庭環境に置かれたジョンソンと妹は、常に不安定な生活を強いられ、ネグレクトを受けていた。
10歳の時、母親は父親を捨て、彼と妹は母親と暮らすようになる。しかし、母親の乱倫な生活は変わることなく、子どもたちを置き去りにしたまま何日も家を空けることが多かった。次第に家には食料すらなくなり、ある日、妹がポークチョップを盗んできた。これがきっかけとなり、彼も盗みを始めるようになったという。
初めは食べ物を手に入れるためだったが、次第に服や他の品物へと盗みはエスカレートしていった。後日、久しぶりに家に戻った母親は、子どもたちが万引きでさまざまな物を取り揃えたことを知ると、むしろ大いに感心し、その手口を聞いた。倫理観の欠如した母親は子どもたちまでを巻き込み、やがて家族全体による万引きが常となる。
ある日、家族でショッピングモールに行き、彼が単独で万引きをしていると、警備員のトランシーバーから彼の名前が聞こえてきた。自分自身を名乗ると、彼は警備室に連れて行かれ、そこには「初めてなんです。そんなつもりはありませんでした」と涙ながらに訴える母と祖母、そして平気でウソをつく二人をじっと睨む妹がいた。これを機に妹は窃盗への加担をやめたものの、ジョンソンはその後もさらなる犯罪行為を続けた。
その後、彼はインターネットを使った世界的な不正の道へと進むこととなる。