【ブラジル「データ保護」最前線】現地弁護士によるセキュリティリスク対応ガイド《前編》
ブラジルにおけるセキュリティ・インシデントとは?
個人データに関わるセキュリティ・インシデントに関して、ANPDは「セキュリティ・インシデント・コミュニケーション規則」(RCIS)を制定した。RCISでは、個人データに関わるセキュリティ・インシデントを、情報セキュリティの3要素または7要素に含まれる 機密性、完全性、可用性、真正性といった個人データの安全性を損なう有害な事象が確認されたものと定義している。この有害な事象は、自発的または偶発的な行為によって発生する可能性があり、個人データが保存されている媒体に関係なく、個人データの開示、拡散、改ざん、不当な損失、不正アクセスにつながる可能性がある。
セキュリティ・インシデントには、個人データの紛失や利用不能も含まれる。セキュリティ・インシデントの例としては、データの乗っ取り(ランサムウェア)、情報システムに保存されたデータへの不正アクセス、そしてデータ主体に関するデータの漏えいなどがある。
リスク評価について
個人データ管理者は、インシデントに起因するリスクおよびデータ対象者への影響を評価し、ANPDに報告するかどうかを決定しなければならない。これについては、ANPDは、セキュリティ・インシデントが累積的に以下の3点における閾値に達した場合にのみ報告する必要がある、としている。
- データ管理者がその発生を検知した
- データ管理者がその発生を検知した
- データ対象者に関連するリスクまたは損害を与える可能性がある
第3の閾値に関して、RCISはまた、データ保有者に関連するリスクまたは損害とみなされる対象を明確にした。RCISにより、以下の特徴を持つ個人データに関わるセキュリティ・インシデントは、ANPDおよびそのデータ対象者に報告されなければならない。
したがって、企業は、ANPDへの報告が必要かどうかを判断するため、セキュリティ・インシデントから生じるデータ主体へのリスクと影響を、法律の前提を踏まえながら評価する必要がある。
(後編に続く)
ピックアップ
- 【2024年11月20日「適時開示ピックアップ」】ストレージ王、日本製麻、コロプラ、GFA、KADO…
11月20日の東京株式市場は反落した。日経平均株価は売り買いが交錯し、前日から62円下落した3万8352円で引けた。そんな20日の適時開示は…
- 安藤百福「素人だから飛躍できる」の巻【こんなとこにもガバナンス!#36】…
栗下直也:コラムニスト「こんなとこにもガバナンス!」とは(連載概要ページ) 「素人だから飛躍できる」安藤百福(あんどう・ももふく、実業家) …
- 【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#2】米エヌビディア、豪レゾリュート・マイニング、加バリック・ゴ…
組閣人事報道も相次ぎ、世界がトランプ米大統領の再来前夜に揺れ動く中、世界では、どんなコーポレートガバナンスやサステナビリティ、リスクマネジメ…
- 鳥の目・虫の目・魚の目から見る「公益通者保護法」の再改正【遠藤元一弁護士の「ガバナンス&ロー」#5】…
「EU公益通報者保護指令」を参考に では、不利益処分の禁止の実効性を高めるにはどのような規定を定めるべきなのか。この問題を「鳥の目」「虫の目…
- 【米国「フロードスター」列伝#1】「カリブ海豪華フェス」不正実行者の所業と弁明…
豪華フェスの壮大な計画 「麻薬王パブロ・エスコバルが所有していた、バハマの孤島で史上空前のラグジュアリーな音楽フェスをセレブと一緒に体験でき…
- 「日本ガバナンス研究学会」企業献金から大学・兵庫県知事問題までを徹底討論《年次大会記後編》…
「非営利組織」におけるガバナンスの課題も俎上に 大会の最後に行われた統一論題は「信頼向上に向けたガバナンスの確立~多様化する組織と不正の視点…