エネルギーテック企業エネチェンジ「会計疑義問題」3億円の第三者委員会がシロ判定でも“創業者は追放”への疑問

代償は10億円超、監査法人は辞任

エネチェンジは、第三者委員会の設置に至ったために大きな代償を支払うことになった。関係者によれば「第三者委員会の費用は3億円に上った」が、23年12月期の有価証券報告書(決算修正後)では、「監査公認会計士等に対する報酬」が前年度の3380万円から3億2400万円まで増加した上に、「決算訂正関連費用」として9億2000万円もの引当金を積んでいる。23年12月期は赤字となり、債務超過に陥り、期末の現預金が22億円まで減少したエネチェンジにとって、10億円を超えるコストはあまりに大きな代償だった。

しかし、それで終わらなかった。城口氏の一連の言動は、報告書を読む人によって判断が分かれる可能性はある。「軽率だった」という判断もあれば、「悪意があった」と判断される場合もあるだろうが、第三者委員会の判断は「シロ」だった。城口氏の言動は不適切だったが、「意図的な隠ぺいではなかった」としてシロの判断を下したのであり、本来、これで“みそぎ”は済んだはずだった。

だが、あずさ監査法人はこの結論に納得せず、あずさ監査法人の見解として「重要な虚偽表示の原因となる不正があると判断した」との文言が報告書に合わせて盛り込まれ、関係者によれば、あずさ監査法人が監査証明を出さない事態となった。7月10日の最終期限までに有価証券報告書を提出しなければ上場廃止となる。新たに監査法人を選任する時間的余裕はなく、交渉の末に、あずさ監査法人は監査証明を出すが、その後に監査法人を辞任することになった。

そして7月29日、城口氏が辞任を申し出て、取締役会で検討した結果、第三者委員会の判断を踏まえてもなお、あずさ監査法人が「不正はある」と判断した事実を重く受け止め、城口氏の責任を明確化する必要があると判断し、辞任を決議したという。

「城口氏の辞任は監査厳格化の流れを象徴するものですが、エネチェンジ側は本決算を前にあずさ監査法人の指摘に応じており、決算を修正して有価証券報告書を提出すればよく、第三者委員会を設置する必要があったとは思えません。そして結果的に、第三者委員会は無意味なものになりました。これが先例になるかどうかは、まだ時間が必要でしょう」

ある公認会計士はこう解説する。今回のケースは、第三者委員会のシロ判定が出ても辞任に至ったという点で異例であり、その原因は、監査法人の信頼を失い、それを取り戻せなかったことに尽きる。しかしそこには、会計における不正の基準、第三者委員会の機能、監査法人の判断の是非等、さまざまな問題を内包している。

そして根本には、エネチェンジが創業者の城口氏を失うことに見合ったものだったのかという疑問がいまだ横たわっている。

(了)