検索
主なテーマ一覧

日本企業“基本給が増えない”驚愕の根拠―「福利厚生、充実しています」の甘い罠

「労組・労基署に駆け込まれない」が必須の課題

日本の場合、解雇するには、社会の常識に照らして納得できる理由が必要となる。そして、合理的な理由があっても、解雇を行う際には少なくとも30日前に解雇の予告をする必要がある。厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」のウェブサイトでは、下記のように明記されている。

〈予告を行わない場合には、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。予告の日数が30日に満たない場合には、その不足日数分の平均賃金を、解雇予告手当として、支払う必要があります。例えば、解雇日の10日前に予告した場合は、20日×平均賃金を支払う必要があります〉

「出来ない」といっても、実際に、会社都合による突然の解雇は存在しており、その場合、労働者に対して金銭的な補償をしなければならない。解雇などの労働問題に詳しい城南中央法律事務所の野澤隆弁護士は、次のとおり解説する。

「切羽詰まった中小企業の場合、ワンマン社長が長年勤めている労働者を会議室に急に呼びつけ、退職勧奨の提案などもないまま、解雇や自己都合退職強要の話をいきなりすることは、今でも結構あります。こうしたケースでは、労働者側も意地になって経済的な合理性を無視した行動、具体的には『(会社には自分の居場所はもうないだろうとわかってはいるが)手続きが面倒な解雇の無効・労働者の地位保全を主張する』や『(自分には一文の得にもならないが、会社都合解雇の形にすれば役所から解雇していないこと等が条件となっている補助金給付とかで会社に悪影響があるといった入れ知恵に基づいて)解決金を後々いくら積まれても自己都合退職だけは絶対に認めない』といった戦いをすることがよくあります。

とはいえ、労働事件も民事事件の一分野である以上、事件が裁判所に持ち込まれても、最終的には民事事件の金銭賠償の原則に基づきお金で解決されるケースが大半です。そこでは経済合理性・費用対効果が裁判関係者によって常にチェックされていますので、この手の案件では最初の一歩、話の切り出し方に気を付け労働組合(労組)や労働基準監督署(労基署)などに駆け込まれないようするのが、経営者側の古くからの必須課題であり、加えて現代ではSNSなどで悪評が書かれないよう注意する必要があります」

従業員が会社と定めたルールのもとで、そのルールに則って働く…
「会社を傷つけたい」解雇を予告された社員の抵抗 …
1 2 3 4

ランキング記事

【PR】【11月26日(火)14:00~開催】アンケート無料ウェビナー開催 内部通報実務者Q&Aウェビナー~アンケートから見る現場の声とその対策~【参加特典あり】
【PR】【11月26日(火)14:00~開催】アンケート無料ウェビナー開催 内部通報実務者Q&Aウェビナー~アンケートから見る現場の声とその対策~【参加特典あり】
【PR】【11月27日(水)14:00~】無料ウェビナー開催  【商標業界最前線】メタバースにおける画像・商標の保護 ~不正競争防止法改正と商標・画像保護の最新動向~
【PR】【11月27日(水)14:00~】無料ウェビナー開催  【商標業界最前線】メタバースにおける画像・商標の保護 ~不正競争防止法改正と商標・画像保護の最新動向~

ピックアップ

  1. 【米国「フロードスター」列伝#2】国際サイバー犯罪の元祖インターネットのゴッドファーザー…

    毒親に育てられた“万引き家族” アメリカの東部、南部、そして中西部に囲まれた「経済と文化のクロスロード」ケンタッキー州。ブレット・ジョンソン…

  2. 【2024年11月21日「適時開示ピックアップ」】バロックジャパン、電業社機械製作所、JR九州、BE…

    11月21日の東京株式市場は続落した。日経平均株価は前日比326円安い3万8026円で引けた。米半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)が2…

  3. 安藤百福「素人だから飛躍できる」の巻【こんなとこにもガバナンス!#36】…

    栗下直也:コラムニスト「こんなとこにもガバナンス!」とは(連載概要ページ) 「素人だから飛躍できる」安藤百福(あんどう・ももふく、実業家) …

  4. 【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#2】米エヌビディア、豪レゾリュート・マイニング、加バリック・ゴ…

    組閣人事報道も相次ぎ、世界がトランプ米大統領の再来前夜に揺れ動く中、世界では、どんなコーポレートガバナンスやサステナビリティ、リスクマネジメ…

  5. 鳥の目・虫の目・魚の目から見る「公益通者保護法」の再改正【遠藤元一弁護士の「ガバナンス&ロー」#5】…

    「EU公益通報者保護指令」を参考に では、不利益処分の禁止の実効性を高めるにはどのような規定を定めるべきなのか。この問題を「鳥の目」「虫の目…

  6. 【米国「フロードスター」列伝#1】「カリブ海豪華フェス」不正実行者の所業と弁明…

    豪華フェスの壮大な計画 「麻薬王パブロ・エスコバルが所有していた、バハマの孤島で史上空前のラグジュアリーな音楽フェスをセレブと一緒に体験でき…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス