【2025年2月26日「適時開示ピックアップ」】シャープ、LIEH、中部鋼鈑、シンワワイズ、バルカー

2月26日水曜日の東京株式市場は続落した。日経平均株価は前日から95円値を下げ、3万8142円で引けた。為替相場で円高ドル安に振れていることを嫌気した。そんな26日の適時開示は300件。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。
「シャープ」“損害賠償請求訴訟”50万円で和解
東証プライムのシャープは、中国・深圳の企業と電気スイッチ製造の日本アレフ(未上場、東京・港区)から訴えられていた損害賠償訴訟について、2月26日に和解が成立したと発表した。
この2社は製造した電気を光に変える電子部品の発光素子に不具合があったとして、シャープなどが連帯して深圳の企業に3447 万万円、日本アレフに2333万円を支払うよう2022年3月に東京地裁に提訴していた。
今回、シャープなどが50万円を2社に支払うことで和解した。「50万円」という金額の意味が気になる事案ではある。
【シャープ】和解による損害賠償請求訴訟の解決に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250203561854.pdf
「LIEH」学校運営めぐる訴訟で和解
東証スタンダードで食品流通のエルアイイーエイチ(LIEH)は、2月26日、損害賠償訴訟で和解に至ったと発表した(本誌関連記事)。
この訴訟はLIEHが河合ゼミナール(未上場、岐阜県)から訴えられていたもの。同社の連結子会社ウィッツは2017年まで「ウイッツ青山学園高等学校」(三重県)を運営していたが、そのサポート校4校をを運営していた河合ゼミナールから「学校で不適切な教育が施され、生徒の募集停止につながったことで損害を被った」として提訴されていた。
LIEHは前社長の福村康廣氏による報酬や交際費など不適切な取引が表面化し、昨年8月に福村氏は解任された。会社側が福村氏に損害賠償を求めるなど、混迷を深めている。
【エルアイイーエイチ 】和解による損害賠償請求訴訟の解決及び特別利益計上に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250226582464.pdf
「中部鋼鈑」製鉄工場の事故で復旧状況を公表
東証プライムの中部鋼鈑(名古屋市)は、製鋼工場で1月21日に起きた爆発事故の被害や復旧状況を公表した(本誌関連記事)。
事故は、高温で溶けた鋼が炉から漏れ出し、水と接触して水蒸気爆発が起きた。人的な被害はなかったが、電気炉設備や建屋の天井や壁面が損傷した。製鋼工場の操業再開は当初、3月中旬を目指していたが、鋼の除去作業に時間がかかり、操業再開は3月末になるという。
溶けた鋼は1500度もあり、製鉄所にとっては事故防止が最大のリスク管理だ。
【中部鋼鈑】製鋼工場における事故に関するお知らせ(第4報)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250226582509.pdf
「シンワワイズHD」証券取引等監視委員会から課徴金の納付命令
東証スタンダード上場で美術品取引サービスの、Shinwa Wise Holdings(シンワワイズホールディングス、HD)は、証券取引等監視委員会から金融庁に対し、2100万円の課徴金の納付命令を同社に出すように勧告があったことを明らかにした(本誌関連記事)。
監視委によると、シンワワイズは、絵画の売買契約をめぐり、顧客との間で買い戻す約束をしたうえで売却。これを売り上げとして計上していた。
だが、証券取引等監視委員会は今回の取引について、会計基準では支払い利息を計上する金融取引とすべきだと指摘し、売り上げの過大計上という金融商品取引法違反にあたるとしている。
同社は2020年5月期の有価証券報告書などを訂正していた。
【シンワワイズ】証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告についてのお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250226582960.pdf
「バルカー」が“コンプライアンスの日”を制定
東証プライムで工業用のシール材などを製造するバルカーは、取引先への水増し代金の支出し、その一部が役員へのキックバックが発覚したことを受け、再発防止策の進捗状況を公表した(本誌関連記事)。
この事案でバルカーは特別調査委員会を設置。同社は報告書を受領した11月14日を「コンプライアンスの日」と定めて、企業風土の刷新を進めていることを説明した。また「悪いことを悪い」と言える心理的安全性のある風土を築くという。
【バルカー 】再発防止策の進捗状況に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250225581320.pdf
関連記事
ピックアップ
- 【2025年2月26日「適時開示ピックアップ」】シャープ、LIEH、中部鋼鈑、シンワワイズ、バルカー…
2月26日水曜日の東京株式市場は続落した。日経平均株価は前日から95円値を下げ、3万8142円で引けた。為替相場で円高ドル安に振れていること…
- 【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#15】豪ワイヤラ製鉄所、GFGアライアンス、中国北方工業、トリ…
豪ワイヤラ製鉄所、資金繰り悪化で経営破綻 豪南部・南オーストラリア州のワイヤラ製鉄所が資金繰り悪化のため経営破綻した。同政府の一時管理下に置…
- 【米国「フロードスター」列伝#8】世界企業「シスコ」を騙して“13万ドル不正転売男”の虚飾と末路…
今回は、本誌「Governance Q」と公認不正検査士協会(Association of Certified Fraud Examiner…
- ゲーム会社vs.アクティビスト「経営者の業績連動報酬」は企業価値創造のインセンティブとなるか【遠藤元…
遠藤元一:弁護士(東京霞ヶ関法律事務所) ストラテジックキャピタルのガンホーに対する「公開アクティビスト活動」 スマートフォンゲーム「パズル…
- フジテレビ問題は対岸の火事ではない〜「人のふり見て我がふり直せ」は経営者の法的な義務である〜【野村彩…
野村 彩:弁護士(和田倉門法律事務所)、公認不正検査士(CFE) 会社から“雇用”でなく“委任”されているのが取締役 文春砲に端を発したテレ…
- 東北大学大学院・細田千尋准教授「脳科学から考える“令和の新しい経営者”とは」【新春インタビュー#13…
細田千尋:東北大学大学院准教授・認知科学 / 脳科学者 「Governance Q」新春インタビュー最終回の13回は、東北大学大学院准教授で…