検索
主なテーマ一覧

【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#15】豪ワイヤラ製鉄所、GFGアライアンス、中国北方工業、トリドール・丸亀製麺、譚仔国際、仏オラノ

豪ワイヤラ製鉄所、資金繰り悪化で経営破綻

豪南部・南オーストラリア州のワイヤラ製鉄所が資金繰り悪化のため経営破綻した。同政府の一時管理下に置かれ、売却先を探すことになった。

ワイヤラ製鉄所は英実業家サンジープ・グプタ氏率いる複合企業GFGアライアンスの傘下にあり、豪国内で生産される構造用鋼の75%を生産している。

経営破綻を受け、連邦政府と南オーストラリア州政府は製鉄所の再建に向け、合わせて約24億豪ドル(約2300億円)を拠出する。内訳は、経営再建に向けた長期投資が19億豪ドル、雇用対策など運転資金が4億豪ドル、債権者保護が1億ドル。

シドニー・モーニング・ヘラルド紙によれば、政府はこれとは別に、設備の脱炭素化に向け5億豪ドルを支援する方針だ。

中国北方工業、鉱物資産取得でコンゴ政府に譲歩

中国の軍需大手、中国北方工業集団(NORINCO)は、コンゴ(旧ザイール)の国営鉱山会社シェマフが保有する銅・コバルト資産の取得に当たって、コンゴ政府の権益保有分の引き上げを提案した。資産買収契約が円滑にまとまることを狙ったものだ。

ロイター通信によると、中国北方工業は昨年6月、シェマフとの間で、銅・コバルト資産を14億ドル(現在のレートで約2100億円)で買収することで合意。

ところが、コンゴの別の国営鉱山会社ジェカミンもシェマフに資産買収を持ち掛けたことから、中国北方工業の当初提案は暗礁に乗り上げていた。

そこで今回、中国北方工業は、シェマフが操業している2鉱山の権益について、コンゴ政府の持ち分を現行の5%から15%に大幅に引き上げることを提案。中国北方工業としては、権益の過半数を取得できれば、コンゴ政府の持ち分については柔軟に対応する構えという。

トリドール、スープ麺チェーンの香港・譚仔国際を完全子会社化

トリドールホールディングスは、米線(ライスヌードル)専門店チェーンなどを展開する香港の譚仔国際(タムジャイ・インターナショナル)を完全子会社することを決めた。トリドールの連結子会社である東利多控股を通じ、株式非公開化案も提示した。最終的に、香港取引所(HKEX)での上場が廃止される見通しだ。

1996年に設立された譚仔は、2018年にトリドールグループに参加。21年にHKEXに上場した。

香港で「譚仔雲南米線」(譚仔)、「譚仔三哥米線」(三哥)ブランドを手掛け、中国本土のほか、日本やシンガポール、オーストラリアなどでも事業展開している。昨年11月にはトリドールから、うどん店チェーンの丸亀製麺の全株式を取得した。

トリドールは譚仔の完全子会社化・非上場化の理由について、長期的な成長戦略の強化、上場維持費用の削減、資金調達力の強化などを挙げた。

今後、「香港会社条(法)」に基づき、香港高等法院(高裁)の指示に従って、譚仔の株主総会での承認や裁判所の認可といった手続きが必要となる。

【トリドールホールディングス】連結子会社 Tam Jai International Co. Limited の完全子会社および非上場化へ向けた株式等取得手続き開始に関するお知らせ
https://pdf.irpocket.com/C3397/CRpO/OioH/Y1It.pdf

ニジェールが銅採掘に着手、仏オラノは撤退へ

西アフリカのニジェールはこのほど、資源採掘の多角化に向け、北部の砂漠地帯での銅採掘に着手すると発表した。一方、50年間にわたり操業していた旧宗主国フランスのオラノ(旧アレバ)は、リチウム採掘権を取り消された。

AFP通信によると、ニジェール軍事政権は国営鉱山会社コンパニ・ミニエール・ド・レール(コミネール)に対し、北部アガデス州での銅採掘権を付与した。

政府によれば、採掘が許可された鉱山では、10年にわたり年間約2700トンの生産が可能。

また、ニジェール企業、コンパニ・ミニエール・ド・ルシェルシュ・エ・デクスプロワタシオン(コミレックス)に対しては、同州でのリチウム採掘権を認可した。5年にわたり、年間300トンの採掘が見込まれている。

2023年7月のクーデターで権力を掌握した軍事政権は鉱業部門を国家管理下に置くことを目指しており、その一環で、オラノのリチウム採掘権を取り消した。

同社は昨年6月には、推定埋蔵量20万トンのアガデス州イムラレンのウラン鉱床での採掘許可も取り消されている。

(毎週火曜日連載、次回#16は3月4日公開予定)

ランキング記事

ピックアップ

  1. 【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#15】豪ワイヤラ製鉄所、GFGアライアンス、中国北方工業、トリ…

    豪ワイヤラ製鉄所、資金繰り悪化で経営破綻 豪南部・南オーストラリア州のワイヤラ製鉄所が資金繰り悪化のため経営破綻した。同政府の一時管理下に置…

  2. 【2025年2月21日「適時開示ピックアップ」】ピクセルカンパニ―ズ、アドバンスクリエイト、ユニバー…

    2月21日金曜日の東京株式市場は3日ぶりに反発した。日経平均株価の終値は、前日より98円高い3万8776円だった。日本銀行の植田和男総裁がこ…

  3. 【米国「フロードスター」列伝#8】世界企業「シスコ」を騙して“13万ドル不正転売男”の虚飾と末路…

    今回は、本誌「Governance Q」と公認不正検査士協会(Association of Certified Fraud Examiner…

  4. ゲーム会社vs.アクティビスト「経営者の業績連動報酬」は企業価値創造のインセンティブとなるか【遠藤元…

    遠藤元一:弁護士(東京霞ヶ関法律事務所) ストラテジックキャピタルのガンホーに対する「公開アクティビスト活動」 スマートフォンゲーム「パズル…

  5. フジテレビ問題は対岸の火事ではない〜「人のふり見て我がふり直せ」は経営者の法的な義務である〜【野村彩…

    野村 彩:弁護士(和田倉門法律事務所)、公認不正検査士(CFE) 会社から“雇用”でなく“委任”されているのが取締役 文春砲に端を発したテレ…

  6. 東北大学大学院・細田千尋准教授「脳科学から考える“令和の新しい経営者”とは」【新春インタビュー#13…

    細田千尋:東北大学大学院准教授・認知科学 / 脳科学者 「Governance Q」新春インタビュー最終回の13回は、東北大学大学院准教授で…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス