【2024年11月14日「適時開示ピックアップ」】AIフュージョンキャピタル、ショーケース、日鉄鉱業、日鉄、三井物産、東急不動産HD、リニューアブル・ジャパン、TKP、ノバレーゼ、ヒロタ、日東工器、横浜冷凍、デジタルプラス、マクロミル、バルカー、マイクロアド、タムラ製作所、イー・ロジット、M&A総研HD、SCREEN
11月14日の東京株式市場は3日続落。日経平均株価は前日から185円下がった3万8535円で引けた。利益確定売りが優勢になったものと見られるが、米トランプ次期大統領を警戒して値動きが重くなっているとの指摘もある。そんな14日の適時開示は、2025年3月期決算企業の中間決算などが相次ぎ、1780件にも及んだ。数多のIR(投資家情報)からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。
投資会社「AIフュージョン」がIT「ショーケース」をTOB
東証スタンダード上場でWebサイトの改善などを手がけるショーケース(東京・六本木)は、ベンチャー企業への投資や投資事業組合の組成を行う東証スタンダード上場のAIフュージョンキャピタルグループ(東京・千代田区)による株式公開買い付け(TOB)に賛同すると発表した。今後、デジタルを活用して業務を改善するDX(デジタルトランスフォーメーション)などに関する事業で協業し、シナジー効果を出していく。
なお、ショーケースは1996年の設立で、2023年12月期の売上高は約57億円だったのに対し、営業利益は2億8000万円の赤字、当期利益も1億1000万円の赤字と2期連続の赤字に沈んでいる。
一方のAIフュージョンは今年10月に単独株式移転によりフューチャーベンチャーキャピタルの完全親会社として設立され、スタンダード市場に上場。社長は澤田大輔氏。76年生まれの48歳で96年に個人事業主として開業、18年にDSG1代表に就任、21年には紺綬褒章を受章、23年6月にフューチャー社の会長、同11年に同社会長兼社長に就任という経歴の持ち主だ。
AIフュージョンは上場企業なので、上場企業としてのコーポレートガバナンスは継続されるはずだ。
【ショーケース】AIフュージョンキャピタルグループ株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明、 同社との資本業務提携契約の締結、及び同社を割当予定先とする 第三者割当による新株式発行に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114524456.pdf
日鉄系「日鉄鉱業」vs.三井物産系「三井石油開発」で訴訟合戦
東証プライム上場で、日本製鉄系企業として銅、錫などの非鉄金属の資源開発にあたる日鉄鉱業は、100%子会社の日鉄鉱コンサルタントが三井物産100%子会社の三井石油開発によって損害賠償訴訟を起こされたと発表した。
日鉄鉱コンサルタントは三井石油開発から北海道蘭越町で地熱発電に関する掘削業務を請け負ったが、2023年6月にヒ素などの有害物質を含む大量の蒸気が噴出する事故を引き起こした。
事故の終息後、日鉄鉱コンサルタントは工事費用などの支払いを求めて三井石油開発を提訴していたが、今回は、被告側だった三井石油開発が日鉄鉱コンサルタントに対して損害賠償と原状回復費用の計34億6000万円の支払いを求めて逆提訴した。
ちなみに、両社の裏に控える日鉄と三井物産は鉄鉱石の輸入などをめぐって、深い信頼関係にあったことはよく知られるところ。そんな両グループの訴訟合戦は、コンプライアンスの面からも要注目と言える。
【日鉄鉱業】当社連結子会社に対する訴訟の提起に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114524122.pdf
「東急不動産HD」が再エネ「リニューアブル・ジャパン」をTOB
東証プライムの東急不動産ホールディングス(HD)は、太陽光を中心とした再生エネルギー事業に取り組むリニューアブル・ジャパン(東証グロース上場)の株式を公開買付け(TOB)で取得することを発表した。
再エネ事業に取り組む事業子会社の東急不動産とリニューアブル社は2017年から協業しており、TOBにも賛同している。今回、改めてグループ入りすることでの持続的な成長を目指すとしている。
リニューアブル社は、眞邉勝仁社長が東日本大震災の被災地を訪れたことをきっかけに、金融ノウハウや再エネで地域社会を元気づけようと創業したという。リニューアブル・ジャパンは上場廃止になる。
【東急不動産ホールディングス株式会社】東急不動産ホールディングス株式会社の完全子会社(東急不動産株式会社)によるリニューアブル・ジャパン株式会社(証券コード 9522)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114524392.pdf
貸し会議室「TKP」がブライダルの「ノバレーゼ」を買収
東証グロース上場で貸会議室を展開するティーケーピー(TKP)は、東証スタンダード上場でブライダル事業を営むノバレーゼをTOBで買収する。ノバレーゼ株式の最大60%を持つ意向で、ノバレーゼも賛同、上場も維持される。両社が協業すれば、ノバレーゼの保有する施設の平日稼働を促進するなどのメリットがあるとしている。
なお、ノバレーゼ株式の38.93%は日系プライベート・エクイティ(PE)ファンドのポラリス・キャピタル・グループが保有している(2023年12月末現在)。
【ティーケーピー】株式会社ノバレーゼ(証券コード:9160)株式に対する公開買付けの開始及び同社との資本業務提携契約書の締結に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114524406.pdf
洋菓子の「ヒロタ」が債務超過打開で“新商品”開発を発表
名古屋証券取引所に上場する洋菓子のヒロタグループホールディングス(HD、東京・千代田)は、債務超過の解消に向けた状況を公表した。アイスなど新たな商品開発やフランチャイズ店の拡大を進めていると説明している。同社は、2025年3月期の24年9月中間決算で、1億8700万円の純損失を計上し、3億3500万円の債務超過となった。アイスで挽回できるか。
【ヒロタグループHD】債務超過解消に向けた計画の進捗状況についてhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114523083.pdf
「日東工器」在庫過大計上不正を受けて有価証券報告書訂正
東証プライム上場で配管の簡易接続器具メーカーの日東工器(東京・大田区)は、2022年3月期~24年3月期の有価証券報告書などを訂正した。日東工器では、原材料や資材部品など在庫の評価を過大計上するなど不適切な会計処理が発覚していた。
そのため、今年9月に特別調査委員会を設置。三宅英貴弁護士(アンダーソン・毛利・友常法律事務所)が委員長に、公認会計士の藤田大介(KPMG FAS)、的場美友紀弁護士(笹浪総合法律事務所)の2人が委員に就き、調査を行ってきた。
【日東工器】過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出 及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241113522567.pdf
「横浜冷凍」収益の認識でトーマツと協議のうえ決算を訂正
東証プライムで倉庫や食品の加工や輸出入を手がける横浜冷凍は、2022年9月期~23年9月期の決算を訂正した。他国との貿易で、横浜冷蔵が仕入を担当し、その商材にマージンを加えて協力会社に販売するなどの事業で、収益の認識を改めて検討した結果、訂正することにしたと説明している。監査法人(トーマツ)と協議をした結果という。
【横浜冷凍】過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114524288.pdf
デジタルギフト「デジタルプラス」継続企業の前提を解消
東証グロースに上場し、キャッシュレスで金券を贈れるデジタルギフトサービスを展開するデジタルプラス(東京・渋谷区)は、「継続企業の前提に関する注記」を解消したと発表した。2017年9月期から23年9月期まで営業損失を計上してきたが、デジタルギフトなどのフィンテック事業が好調で、営業黒字になったほか、第三者割当増資などで資金も確保したという。
【デジタルプラス】「継続企業の前提に関する注記」及び「継続企業の前提に関する重要事象等」の解消に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114524258.pdf
投資ファンドがマーケ企業「マクロミル」をTOB
東証プライムでマーケティングのマクロミル(東京・港区)は、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズによるTOBについて賛同すると発表した。1株1150円で買い付け、マクロミルは上場廃止になる予定。マクロミルは上場廃止後、海外におけるグループを再編し、グローバルな事業展開を目指すという。
なお、同社の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)の17.82%で、2位はノーザン・トラストの15.97%と、日本カストディ銀行の10.47%と続く(24年6月末現在)。
【マクロミル】TJ1 株式会社による当社株式等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114523792.pdf
「バルカー」代金水増しでキックバック
東証プライム上場で、ファイバーやフッ素樹脂等を製造するバルカーは、特別調査委員会の報告書を公表した。業者との取引代金に水増しが行われ、上席専務執行役員らに対してキックバックなどがあったと認定した。
キックバックの金額は3億1000万円で、2億円が弁済されている。瀧澤利一会長・CEO(最高経営責任者)は報酬月額の20%、瀧澤利治社長・COO(最高執行責任者)は5%をそれぞれ3カ月返納するとしている。
なお、同社はキックバック不正に絡んで、今年9月に上記特別委を設置していた。いずれも独立社外取締役・監査役を務める沓澤浩也氏、公認会計士の高橋秀法氏、弁護士の戸井川岩夫氏のほかに、最高コンプライアンス責任者の谷田部麻美子常務執行役員、それにTMI総合法律事務所の弁護士を加えた5名で調査を進めてきた経緯がある。
【バルカー】特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241113521151.pdf
マーケ支援「マイクロアド」資本準備金取り崩して株主還元へ
東証グロース上場で、マーケティング支援のマイクロアド(東京・渋谷区)は、資本準備金を減らして、繰越利益剰余金の欠損を解消する。5億4000万円の資本準備金を取り崩し、3億7000万円分を繰越利益剰余に回して欠損を解消する。配当や、自己株式の取得など株主還元の早期実現に向けて取り組むとしている。
【マイクロアアド】自社株買い等の株主還元の実現を目的とした資本準備金の額の減少及び剰余金の処分に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114523638.pdf
電子部品「タムラ製作所」で不正な会計処理
東証プライムで電子部品などをつくるタムラ製作所(東京・練馬区)は、不適正な会計処理を調べていた外部調査チームの報告書を公表した。中国の連結子会社2社において、仕掛かり品の評価などで不正な会計処理があったと認定した。この不正な会計処理3億3000万円の利益が減るという。具体的な再発防止策は改めて発表する。
【タムラ製作所】外部調査チームの調査報告書受領に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114523345.pdf
物流「イー・ロジット」が「M&A総研HD」をM&A仲介めぐり提訴
東証プライム上場で、M&A仲介のM&A総研ホールディングス(HD)は、東証スタンダード上場で物流サービスのイー・ロジット(東京・千代田区)から、損害賠償請求訴訟を提起されたと発表した。M&A総研HDが仲介した企業とイー・ロジットとの取引で注意義務違反があったというが、「訴状を受領していないため詳細な内容は明らかにされていない」と説明している。
【M&A総研ホールディングス】当社に対する損害賠償請求訴訟の提起に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241114523489.pdf
「SCREEN」収益認識の時期で特別調査委員会を設置
東証プライムで、半導体製造装置製造のSCREENホールディングス(HD、京都市)は、不適切な会計処理の可能性があり、特別調査委員会を設置したと発表した。出荷済みの装置をめぐる収益認識の時期について、会計監査人あずさ監査法人から指摘があったという。委員⻑は社外監査役で公認会計士の横⼭誠二氏が務める。来年1月頃に報告書をまとめる予定だ。
【SCREENHD】第 84 期(2025 年 3 月期)半期報告書の提出期限延⻑に係る承認申請書提出 および特別調査委員会設置のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241113522586.pdf
(平日連載、2024年11月15日公表分に続く)
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