フジテレビ10時間会見を「コーポレートガバナンス」視点で論点整理する
日枝久フジHD相談役会見不参加
27日20時11分ごろ 清水新社長
代表権を持つ人間が会社を代表して責任を持って答えるべき。
1983年から今日に至るまで一貫して取締役として在任し、社長(88~01年)、会長(01~17年、08~17年フジHD会長)を歴任した日枝久相談役(87歳、フジテレビおよびフジHD両社で取締役相談役)が、“フジの天皇”であることは衆目の一致するところ。日枝氏がフジのコーポレートガバナンスを体現する人物であることは間違いない。
そのため、記者は異口同音に日枝氏の会見不参加の理由を質しているわけだが、清水新社長は「代表権」の有無という形式論を前面に押し出した。ただ、翌28日に新社長に就任する清水氏は置くとしても(会見時点ではフジHD専務取締役)、同席していた遠藤氏はフジテレビ副会長ながら、代表権がない。そんな中……。
16時57分ごろ 遠藤副会長
第三者委員会の報告時期を目処にそれぞれの役員がそれぞれの責任を取るべき。常勤役員全員に波及する。この表現でご理解いただけますか。
28日0時24分ごろ 嘉納会長
日枝取締役相談役は長年やってられたことによっていろんな経験、知見をお持ちです。我々はいろいろ判断していく時にいろいろとお知恵を借りたり教えていただいたりする。ご本人がどういうふうにお考えになられるかということだろうと思います。
金光フジHD社長
それを含めて今後あるべき体制に持っていかなければいけないってことはさっきから申し上げている通りです。
港社長
左の2人(嘉納氏と金光氏)と同じです。
遠藤副会長
日枝の長年の在任よりも今回の事件に関する形でどうやっていくかということが一番大きいことなのかなと思っております。
27日22時52分ごろ 金光フジHD社長
最終的な判断は自らの責任で行って、会社としての経営判断は取締会で行うということでございます。
日枝氏が直撃取材を拒んでいる理由を記者が改めて問いただした。長時間会見の数少ない利点は、会見に臨んだ首脳らの“呪縛”を解くことかと思わせるやりとりもあった。
28日1時25分ごろ 金光フジHD社長
私はできるだけお答えするようにしています。これはかつて日枝がライブドア事件の時に家の前で取材を受け、取材をする側が取材に対して拒否をしてはいけないと基本的な考えかと教えてくれたものの反映でございます。
堀江貴文氏が率いるライブドア(当時)が05年、フジグループの買収を仕掛け、日枝氏は買収防衛の陣頭指揮を執り、世論を味方につけるべく記者の自宅への夜回り取材に応対していたことを踏まえた発言だ。
会見は最後まで日枝取締役相談役の長期在任の弊害が問われ続けた。
28日午前2時20分ごろ 金光フジHD社長
在籍年数が長いということは、それなりに影響も大きいというふうに判断されると思います。ただし(今回の件の)遠因が、何らかの原因があるんだろうということが(第三者委の)調査の対象になると思います。実際に調査するのは調査委員会ですので、これはあくまでも私の想像 です。
なお、遠藤副会長は会見終了後の1月28日、第三者委報告後に辞任する意向を明らかにした。
*
ここにきてフジHDは、2025年3月期決算の大幅下方修正を迫られる事態に……。“国民的タレント”とはいえ、一芸能人の所業が、コーポレートガバナンス崩壊を満天下に晒す号砲となった格好の、かつてのナンバーワンテレビ局。ガバナンスを考えるうえで“他山の石”とすべき事象であることは間違いない。
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