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“検察官出身CFE”高橋麻理弁護士が考える「不正調査」と「社外役員が担う不正防止」【第三者委と不正検査の現在地#3】

フジテレビ問題で俄かに注目を集めた第三者委員会。日弁連ガイドラインに則った第三者委か否かは別として、不正調査に当たる委員会に求められるのは、その企業における不正の再発防止、そして再生に他ならない。ところが、委員が調査をミスリードすると、再生はおろか、ともすれば“別の目的”に利用されかねない危険性すらある。

そのような緊張感のもと、検察官出身で公認不正検査士(CFE)の高橋麻理弁護士、多くの企業で不正調査に関わると同時に、上場企業の社外役員も務めてきた。そんな高橋弁護士が考える不正調査の要諦、そして社外役員として不正防止へのアプローチとは――。

フジテレビのように大きな事案になればなるほど、第三者委員会を対外的にいかに見せるか、社会、そして世論を納得させられるかということに注目が集まっているように思われます。ステークホルダーへの配慮が強く求められる時代、不祥事を発生させた企業側としては、第三者委を設置すること自体へのプレッシャーがより高まっているのも確かです。

実際、フジテレビ問題で当初問題になったのは、会社側が設置しようとした調査委員会が日弁連の第三者委員会のガイドラインに沿ったものではないということでした。委員の適格性要件や調査結果の原則全面公開など、ガイドラインには相当レベルの厳格性があり、ビジネスと人権についての考え方などフジテレビ問題が提起した問題の大きさに鑑みても、フジテレビがガイドラインに準拠した第三者委を設置したことは適切だったといえるでしょう。

一方、そもそも第三者委、あるいは調査委を企業自体が設置することの本質とは何でしょうか。調査を通じて不正の真因を探って、改善していくことにあるはずです。ところが、調査結果はその後どのような改善につながったのか。少なくとも、外部からはなかなか見えにくい印象があります。

それは不祥事を引き起こした企業側だけの問題ではなく、広義の意味でのステークホルダーである私たちの側にも、第三者委が設置され、公表された調査結果を見ただけで「やれやれ一件落着」ということになってしまってはいないか。そして、それでは意味がないのだということをきちんと認識する必要があるでしょう。

そこで今回は、第三者委にとどまらず、不正調査の在り方について、私自身の経験と知見をもとにお話しさせていただければと思います。

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