一般株主を保護するはずの「買収防衛策」が株価を下げる本末転倒
――しかし、コスモHDはそうした安定株主を排除せずにMOMに突き進み、買収防衛策導入が採決されました。
丸木:MOMという手法自体の是非については、わが国で初めて導入された東京機械製作所(2021年)の買収防衛策のケースで、仮処分申立てベースながら、最高裁でも認められています。東京機械製作所のケースでの裁判所の判断は、他の一般株主への「強圧性=急速に買い集めている株主は発行済株式の全てを買うわけではなく、いつ買いを止めるか不明であるため、一般株主が売り急ごうとする心理的な圧力」があるから、突如大株主になった者の議決権を除くことについて違法性はないというものでしたが、我々は全く納得できていません。
「強圧性」のために株主が適切な判断を下すための十分な時間が確保できないとの理由で買収防衛策が導入された結果、株価は下がってしまうのです。「強圧性」という不明瞭な概念でMOM決議による買収防衛策が導入された結果、株価が下落し、一般株主は買収者(急速な買い付け者)が退けられたことによる不利益を被りました。
つまり、一般株主を保護する目的だったはずなのに、一般株主が保有する株式の価格が下落しただけでした。これは本末転倒ではないでしょうか。実際のところ、MOMの有無にかかわりなく、有事に買収防衛策が導入されると、ほぼ、その会社の株価は下落するのです。
それから、市場買い付けの規制についても少しだけ申し上げたいと思います。我々は、市場は自由であるべきで、市場で株式を取引する分には自由であるべきだと考えています。しかし最近の流れでは、3分の1以上の株式を取得する場合、市場買い付けは認めずにTOB(株式公開買い付け)にしようという議論もあります。大変残念な議論だと思っています。
市場で株式を購入して、大量保有報告書と変更報告書を毎回出していく。我々の場合、今までのところ、取得比率は多くても10~20%程度ですが、毎回、そうやってきちんとルールに則って株式を取得し保有しているわけです。そうやって、適時に十分な情報開示をしていけば、33%を超えて市場で取得することを規制する必要は無いと考えています。