JAL“説明なき”社長解任「空港施設」にプライム上場の資格はあるか#2【株主総会2023】

JALらによる「乗田社長解任」は指名委の想定内?

報道を受けて山口氏と国交省出身の監査役1名が2023年4月3日付で辞任。本田氏も東京メトロの会長を辞任し、朝日新聞の報道以前に本田氏と会食していた久保田雅晴航空局長(1988年旧運輸省入省)も職を辞した。

この結果、空港施設の指名委員会が策定した役員人事案から国交省出身者は消えた。そして、それまで厳格に守られてきた取締役はJALとANA出身者同数ずつというルールも破られることになる。ANAからは退任する稲田会長の後任として三宅英夫氏が送り込まれたが、JALからは新たに西尾忠男氏が送り込まれたうえ、乗田社長も再任対象になったためだ。

ちなみに西尾氏は2017年6月の総会から、乗田氏が社長に就任する2021年6月の総会で任期が満了するまで、4年間この会社の取締役を務めた経験を持つ。つまりは再登板だ。その意味で、ANAが主張する「人心の一新」には違和感を持たざるを得ない。

ところが、この人事案について、当の空港施設側は「特別調査委の助言に従い、出身母体ではなく、スキルで選んだら結果的にこうなっただけ」だと説明しているのだが、果たしてそうか。

ここで上の表をご覧いただきたい。表中で《国交省関連業務経験者》としてあるのは、2015年6月の株主総会で社外取締役に就任した杉山武彦氏と青山佳世氏を指している。杉山氏は元一橋大学学長で、財団法人の旧運輸政策研究機構(現運輸総合研究所)の副会長経験者。フリーアナウンサーの青山氏も国交省交通政策審議会委員の経験者で、つまりは国交省関連業務の経験者である。

両氏はすでに社外取締役就任から8年が経過しており、今回の株主総会でも再任されたため、4年の任期満了時には就任から12年になる。独立社外取締役の要件は満たしているものの、国交省と親和性が高い人物であることは間違いない。

今回の会社提案の役員人事案を策定した指名委員会のメンバーは上記の杉山、青山両氏、2022年6月の株主総会で社外監査役に就任したNTT出身の小椋敏勝氏(元NTT西日本副社長)、社外監査役の芝明彦弁護士、それに稲田氏、乗田氏の計6名だった。

この顔ぶれで策定した人事案で、乗田氏の再任にJALとANAの両社から賛同が得られると指名委員会が考えたと言われて腹落ちしないのは筆者だけだろうか。

2年前のトップによるパワハラ問題以降、ガバナンス改革を主導した乗田氏に退く意思がなかったのだとすれば、その乗田氏を外す人事案の策定は東証プライム企業としてはやりにくい。

一方、JAL、ANAとしては、国交省にこれだけの傷を負わせてそのままというわけにはいかない。乗田氏の再任否決はシナリオどおりで、JAL、ANAは“悪役”を買って出たのだとしたらストンと腹落ちする。これなら指名委員会の顔が立ち、JAL、ANAは国交省への“義理”を果たし、会社も「ガバナンス不全」を問われることがない。