女性に適材がいないのではない、ポストが人をつくる
――女性が多い企業の可能性に気づいたのはどうしてでしょう?
ファンドマネージャーとして成長企業を選ぶ時は、何が何でも、まずビジネスです。最初にビジネスの内容から入って、それから企業の人的部分を分析していくと、女性登用の実態と重なっていることが分かってきたのです。
具体名は出しませんが、「女性が輝く企業」と表彰された会社に、ある大手情報関連企業A社があります。一方で、この会社と同業ながら、人事面の問題から“ブラック企業”との烙印が押され、業績面でも深刻なダメージを受けた企業B社がありました。ただし、表彰されたA社もかつては、B社に負けず劣らずブラック企業でした。「残酷物語」と言われるような風土もあったのですが、経営改革で体質を大きく変えたのです。
例えば、残業時間の削減。社内でボーナスを支給する時、当然ながら、業績の良い部門に重点的に配分します。ただ、その際の指標として、業績を総残業時間で割ることを決めたのです。つまり、いくら業績目標を超過達成しても残業時間が多かったら、ボーナスの配分が薄い仕組みにしたわけです。
そうすると、何が起きるか。業績を上げることと残業時間を減らすことを同じくらい努力しなきゃいけなくなります。結果、ムダな会議などがなくなり、ブラック企業から抜け出せた。特にIT分野の企業は女性や若い人が活躍しないと、業績は伸びません。ちなみに、こうした業務改善は会社側の開示資料によって外部からでも分かるもの です。
日本企業においては、女性が部長になると、男性の部下が言うこと聞かないという時代が実際にありました。だから、部長は男性じゃなきゃダメだと。ところが、今の若い人にはそういう感覚はありません。女性が部長であろうが、男性が部長であろうが、有能な人であれば関係ない、という考えの人が今の 20 代には増えています。
そもそも、然るべきポストに就くと、人はその顔つきになるものです。明治時代を見てください。明治維新を成し遂げたのは 20 代の若者でした。その人たちが若くして首相になり、政府を動かした。ポストが人を育てるというのは歴史も証明しています。経営層が「女性に適材はいない」と言っているのは、ひとえに変えようとしないからなのです。