検索
主なテーマ一覧

【楽天証券・窪田真之氏インタビュー前編】2000億円を動かしたファンドマネージャーが断言「女性活躍なくして日本企業の成長なし」

女性に適材がいないのではない、ポストが人をつくる

――女性が多い企業の可能性に気づいたのはどうしてでしょう?

ファンドマネージャーとして成長企業を選ぶ時は、何が何でも、まずビジネスです。最初にビジネスの内容から入って、それから企業の人的部分を分析していくと、女性登用の実態と重なっていることが分かってきたのです。

具体名は出しませんが、「女性が輝く企業」と表彰された会社に、ある大手情報関連企業A社があります。一方で、この会社と同業ながら、人事面の問題から“ブラック企業”との烙印が押され、業績面でも深刻なダメージを受けた企業B社がありました。ただし、表彰されたA社もかつては、B社に負けず劣らずブラック企業でした。「残酷物語」と言われるような風土もあったのですが、経営改革で体質を大きく変えたのです。

例えば、残業時間の削減。社内でボーナスを支給する時、当然ながら、業績の良い部門に重点的に配分します。ただ、その際の指標として、業績を総残業時間で割ることを決めたのです。つまり、いくら業績目標を超過達成しても残業時間が多かったら、ボーナスの配分が薄い仕組みにしたわけです。

そうすると、何が起きるか。業績を上げることと残業時間を減らすことを同じくらい努力しなきゃいけなくなります。結果、ムダな会議などがなくなり、ブラック企業から抜け出せた。特にIT分野の企業は女性や若い人が活躍しないと、業績は伸びません。ちなみに、こうした業務改善は会社側の開示資料によって外部からでも分かるもの です。

日本企業においては、女性が部長になると、男性の部下が言うこと聞かないという時代が実際にありました。だから、部長は男性じゃなきゃダメだと。ところが、今の若い人にはそういう感覚はありません。女性が部長であろうが、男性が部長であろうが、有能な人であれば関係ない、という考えの人が今の 20 代には増えています。

そもそも、然るべきポストに就くと、人はその顔つきになるものです。明治時代を見てください。明治維新を成し遂げたのは 20 代の若者でした。その人たちが若くして首相になり、政府を動かした。ポストが人を育てるというのは歴史も証明しています。経営層が「女性に適材はいない」と言っているのは、ひとえに変えようとしないからなのです。

窪田真之・楽天証券経済研究所長インタビュー後編に続く

ワーク・ライフ・バランス重視は「遊びたい」からだって…
1 2 3

ランキング記事

【PR】内部通報サービス無料オンデマンドセミナー

ピックアップ

  1. 織田信長「見た目にいかにも器用そうにふるまう者は、実は無分別の真っ盛り」の巻【こんなとこにもガバナン…

    栗下直也:コラムニスト「こんなとこにもガバナンス!」とは(連載概要ページ) 見た目にいかにも器用そうにふるまう者は、実は無分別の真っ盛り織田…

  2. 英国に降り立った「LIBOR“不正”操作事件」元日本人被告の過酷【逆転の「国際手配3000日」#1】…

    通話記録が証拠に 「モトムラです」「大将、どうも。すみません、○○証券のイケタニです」「はい、はい」「ヘッジファンド販売担当者も行きたいと言…

  3. エネルギーテック企業エネチェンジ「会計疑義問題」3億円の第三者委員会がシロ判定でも“創業者は追放”へ…

    エネルギー問題の将来を担う企業として期待されたエネチェンジ(東証グロース)の創業者、城口洋平CEO(最高経営責任者、37歳)が7月末、会計疑…

  4. 【フランス内部通報者保護制度】現地弁護士が詳細解説《後編》…

    Q7. 内部通報制度を設置しなかった雇用主に対する罰則はありますか? 内部通報制度が設置されていない場合に対しては、法的に特定の罰則は設けら…

  5. 「刑務所で性被害に…」とアメリカ捜査官に脅された日本人ビジネスマン【海外法務リスク#2】…

    有吉功一:ジャーナリスト、元時事通信社記者 (#1から続く)2010年代に日本の自動車部品メーカー40社超が米司法省に摘発され、30人超の日…

  6. 【海外法務リスク#1】巨額罰金、禁錮刑、域外適用、リニエンシー…日本企業を狙う「海外司法当局」の責め…

    有吉功一:ジャーナリスト、元時事通信社記者 グローバル化の進展に伴い、日本企業が直面する国際法務リスクが近年、一段と高まっている。米国では2…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス