ワーク・ライフ・バランス重視は「遊びたい」からだって!?
――10年前の少年野球の経験が、今の女性活躍が求められる時代とつながっているわけですが、現在の「企業と女性の関係」についてどのように考えますか。
ファンドマネージャーの話に戻りますが、アクティブ投資では“良い会社”を選ぶことが非常に重要です。良い会社を選んでいくと、結果的にその銘柄は「女性が輝く企業」であることが多いという共通点があります。
しかも、女性が活躍する会社は若い社員が増えている。現在は共働きで家事、育児、さらには介護を夫婦で分担する時代。だから、ワーク・ライフ・バランスは最重要課題で、若い人はそういった働き方ができる企業を選択しているのです。
ところが、日本の企業幹部で考えの古い人はワーク・ライフ・バランスと聞くと、「今の若い奴はそんなに遊びたいのか!?」。いまだにそんなことを言う人が本当にいるんです。共働きという働き方が前提である以上、ワーク・ライフ・バランスが絶対に必要になっているにもかかわらずです。
昔であれば、長く働きたい女性は結婚を諦めなければいけないとか、出産・育児は無理だとか、そういった不文律が多々ありましたよね。しかし、そんな旧態依然の働き方 で、今のこの少子高齢化社会が成り立つはずがありません。
女性の就業がものすごく増えたから、日本の労働力が補われている。これが現実です。そのためには企業が、共働き社員が家事、育児、介護を分担できるような人事制度を整えていなければならないのです。「24 時間働けますか?」というコマーシャルがバブル全盛の頃にありましたが、今はそんな“モーレツ社員の夫”と、彼を支える“専業主婦の妻”という時代じゃないんです。
――新型コロナ禍でリモートワークが広まるなど、企業における働き方も変わってきました。
今は“隙間時間”という考え方が重要ですよね。家事や育児をやりながら、その隙間時間で働く。在宅勤務やリモートワークを駆使して、個々人のワーク・ライフ・バランスをきちんと考えられる企業が求められています。やはり、そのためには女性登用が欠かせません。
そして、結婚して子どもを育てながら部長になり、役員になり、最後は社長になるような女性がその会社から出てこないと、これからの企業は新卒の優秀な女性は採用できないでしょう。今もただでさえ人が少なくなり、優秀な若手はもう引っ張りだこ。なのに、採用対象を男性に限定などしていたら、絶対数は充足できません。
例えば、学閥を考えてみてください。特定の大学出身者ばかりが社長に就任していて、他大学出身者は社長はおろか役員にもなれない会社に、学閥の大学出身者以外、入りたいと思いますか? 同じように、女性の役員が1人もいない会社に優秀な女性が入りたいとは思わないでしょう。これだけで企業の未来の採用戦略にものすごく不利に働くということです。
また、別の点からも、女性活躍を促すためには女性管理職の登用が効果的だと考えられます。女性の生理休暇の取得促進や、産休・育休後に職場にカムバックするために企業はどういう努力をするのか、また、現実にどういうサポートをするのかというのは、女性登用の前提条件になります。このような課題を解決するに当たっては、実際に産休・育休を取って管理職になった女性のほうがうまくいくことが多いでしょう。さらに言うと、これからの人事部門の責任者には女性のほうが適材かもしれません。
もちろん、男性だからダメだとは言いません。そういう状況にきちんと対応できる人であれば、男性でも女性でも、どちらでもいいはずです。ただ、育児休業の取得率を見ても、女性が80%以上なのに対し、男性は15%にも達していません。しかも、取得期間については女性の9割以上が6カ月以上なのに、男性の5割は2週間未満にとどまっています(2021年度データ、厚生労働省「雇用均等基本調査」より)。