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三菱UFJアセットマネジメントが「選任反対」した取締役・監査役リスト#2《4000~6000番台企業》

ENEOS宮田社長「不祥事でも有責」でも9割超の賛成率

「不祥事に対する有責」を理由に反対された企業のうち、取締役選任案の賛成率が最も低かったのはサワイグループホールディングス(HD、同4887)の澤井光郎会長兼社長の69.88%で、前年より14.02ポイント減。グループ傘下の沢井製薬が品質検査で不正を行い、厚生労働省が23年12月に統括製造販売責任者の交代を命令する行政処分を下した。交代命令は異例で、沢井製薬の担当取締役は辞任したが、最高責任者である澤井会長兼社長への批判が強く、賛成率の大幅低下につながった。

不祥事に対する有責を問われた企業は他にもあったが、賛成率は80%台後半から90%台を得ているものもあり、案件により株主の判断は分かれた。例えば、歴代トップがセクハラ問題に塗れたENEOSホールディングス(HD、同5020)。4月、同社の社長に就いた宮田知秀氏は、汚名をすすぐべく登板したこともあってか、91.73%の賛成を集めた。

政策保有株、過剰金融資産、配当政策の妥当性でも反対票

政策保有株式が反対理由で取締役の賛成率が最も低かったのは、東証プライム上場の機械製造、日阪製作所(同6247)の竹下好和会長で72.01%だった。前年比0.75ポイント減。

同社は政策保有株式を29銘柄、154億円余りを保有している。会社としても政策保有株式の縮減を掲げ、26年3月期までに連結純資産額の20%未満にする予定という。すでに20年4月~23年3月末にかけて9銘柄、18億円余りを売却した。24年3月期は6銘柄、約8億円を売却し、特別利益を計上するなど、純利益は前期比18.6%増の24億円余りに増やした。政策保有株式の売却による資産効率を進めているが、株主からの売却圧力は続いていることを賛成率低下は示した。

過剰金融資産を反対理由に取締役の賛成率が最も低かったのは、東証プライム上場の化学会社、日本高純度化学(同4973)の小島智敬社長の75.74%だった。前年より5.31ポイント減。小島社長は政策保有株式でも反対されている。同社の株価純資産倍率(PBR)は1.41倍(10月23日終値)、株価収益率(PER)は35.27倍(修正済・同)。日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧」によると、9月末時点で東証プライムの化学銘柄の平均PBRは1.1倍、PERは20.5倍で、同社はいずれも上回る。

日本高純度化学の24年3月期の純資産額は145億円余り。前期より10億円余り増えた。政策保有株式は21銘柄、約88億円に上る。同社は製造工場を持たない企画中心のファブレス企業という特性のため、固定資産は相対的に少ない特質がある。

配当政策の妥当性を理由に取締役の賛成率が最も低かったのは、東証プライム上場のPOSシステム端末大手、東芝テック(同6588)の錦織弘信社長の72.75%だった。前年より1.35ポイント減。錦織氏は独立社外取締役数も反対理由に挙げられている。同社は2期連続で純損失を計上したが、24年3月期の配当は前期より増配。配当性向はマイナスだったことが前年より反対を増やしたと見られる。

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