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三菱UFJアセットマネジメントが「選任反対」した取締役・監査役リスト#1《1000~3000番台企業》

後藤逸郎:ジャーナリスト + Governance Q特集班

上場企業のコーポレートガバナンスへの注目が俄然高まる中、機関投資家が株主総会で存在感を増している。

従来の会社提案“支持一辺倒”と一線を画し、アセットマネジメント(資産運用会社)各社は自らのスチュワードシップ・コードに則り、銀行系であれば親会社の融資先企業や、証券系であれば親会社が主幹事を務める会社であっても議案に反対する事例が増えてきた。

2023年3月のキヤノンの定時株主総会で中興の祖とされる御手洗冨士夫会長兼社長CEO(最高経営責任者)が女性取締役不在の責を問われ、あわや取締役解任寸前に至る「御手洗ショック」が起きたことは記憶に新しい。

それでは、24年6月に定時株主総会を開催した企業に対する議決権行使はどうだったのか。そこで本誌「Governance Q」では、日本のアセマネ会社で純資産額トップの三菱UFJアセットマネジメント(MUアセット)の議決権行使、特に「反対」データをもとに分析した。 なお、各企業の状況については4ページ以降の一覧表をご覧いただきたい。

目立った「社外取締役の独立性」への疑義

まず今回は、全上場企業のうち証券コードが1000~3000番台の1978社を対象としている。2024年3月期決算企業の総会に提案された取締役および監査役の選定議案にMUアセットが反対した件数は前年より増加。特に今年からは議決権行使の基準に「政策保有株式」が加わったほか、親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループの融資先にも反対投票したためと見られる。

反対理由を見ると、多様性や政策保有株式、業績低迷、過剰金融資産、不祥事に対しての有責を問うものが並ぶが、とりわけ目につくのが「独立社外取締役数が不十分」として、当該取締役の選任に反対したケースだ。

東京証券取引所は一般株主保護のため、上場会社に対して、一般株主と利益相反が生じる恐れのない社外取締役もしくは社外監査役を「独立役員」と位置づけ、1名以上確保することを「企業行動規範」の遵守すべき事項として規定している。

つまり、独立社外取締役は、株主をはじめ広く企業のステークホルダーの観点から、公正で客観的な立場で、持続的な成長を促すために経営者を監督する役割を期待されている。そして、機関投資家としても、運用先企業の健全なガバナンスを担保するため、社外取締役の独立性を重視していることが議決権行使結果に現れている。事実、独立性を理由にした反対投票結果を見ると、一取締役の資質にとどまらず、企業全体の経営責任を問う姿勢が窺える。

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