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【企業支配権の羅針盤#1】東証上場部が主導する「企業行動規範」見直しの射程

具体的な改正は年明け以降

こうした事情を背景に、前出フォローアップ会議のメンバーからは、東証に一定程度踏み込んだ対応を期待する意見も聞かれた。

たとえば、東証には規範のレベルとして少なくとも米国と同水準を目指してほしいとした上で、MoM条件を設定しない場合であっても、代替措置として算定書の取得やマーケットチェックの状況を含め、特別委員会の活動の詳細に関する開示を求める提案があった。

また、算定書の開示に肯定的な意見や、特別委員会の議事録を開示させることを求める意見もあった。その他、非上場化の局面においては、違反企業に対する上場廃止といったサンクション(制裁)が必ずしも有効に機能しないという問題もある一方で、だからこそ、思い切った理想を掲げることもできるのではないかとの声も聞かれた。

今回の企業行動規範の見直しは、日本の株式市場が公正・公平なマーケットであることをグローバルな投資家にアピールし、一連のガバナンス改革の歩みを一層加速させる大きなチャンスであると言えよう。

他方で、過度に強固な規範は望ましい買収を阻害する、あるいは実務面での負担を増やすことになりかねないとの慎重な意見も多い。コーポレートガバナンス・コードや公正M&A指針との位置づけや整合性の問題も残る。

池田氏によれば、今後、MBOや支配株主による完全子会社化以外の規範についても体系的な整備を進めていく予定で、具体的な改正は年明け以降となるという。

今後の議論の行く末と東証の打ち出す方向性に注目したい。

(不定期連載)

株式価値算定書の開示、MoM条件……米国とは“彼我の…
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