いつ、どこで、どんな方法でヒアリングするか
では、いざヒアリングすることになったとして、誰が、いつ、どこで、どのように聞き取りをすべきだろうか。まず「誰が」という点についてはすでに述べた。「あなた自身」が聞き取らざるを得ない場面がある、ということである。
では「いつ」か、というと、これは「できるだけ早く」と言うしかない。というのも、ハラスメントの場合、一回起きて終わり、とはならない。今このときにも、現在進行形でハラスメントが行われているかもしれないのである。
だとすると、ヒアリングを先延ばしにする、ということは、その先延ばしにしている間に、さらなるハラスメントが起きることを許す、ということでもある。したがって、可能な限り迅速に、何が起こっているのかを把握しなければならない。
「どこで」については、これはクローズドな空間で、ということになる。ヒアリングにおいて最重要となるポイントは、プライバシーの保護である。被害者が相談したことをハラスメントの行為者が知った場合、多くの場合において報復行動が起きる。「お前、チクってんじゃねーよ!」ということである。
また、ハラスメント被害を受けているということは、被害者にとって周りに決して知られたくない事実でもある。したがって、相談の内容だけではなく、相談を受けたこと自体も、厳に秘密にしなければならない。それゆえに、会議室などの、他の人に声が聞こえない場所でヒアリングする必要がある。そのような意味で、逆に気を使って社外の喫茶店にすることなどは、どこに会社の人がいるかも分からないため、あまり向いているとはいえない。
「どのような方法で」については、メールや電話で確認をしてもいいか、という点であるが、まずメールは、何があったのかを確認するためのツールとしては不向きである。相談当初に大枠を把握するために用いるのはいいが、「ん? ここに書いてあることと、こっちに書いてあることは、どういう関係があるのかな?」「このとき、そこに誰がいたのかな?」など、事実関係を細かく聞くことには向かない。
一方、電話はメールよりは詳細を確認しやすいが、できれば実際に会って面談をするのが基本である。対面であれば表情などの言語外の情報も得ることができるし、何より“対応した感”が出て、相談者の満足度も上がりやすい。