AGP「役員報酬増額」提案が昨年総会で否決
AGP特別委は5月13日付書面で、同社が近年、ガバナンスを強化する取り組みを実施している中、JALによる非公開化の提案はその流れに逆行、矛盾するとも指摘していた。これに対してもJALは、株主提案について〈AGPのガバナンス体制及び企業価値の向上を目的とするもの〉と改めて強調。
そのうえで、AGPが少数株主との間の利益相反構造を懸念するあまり、JALなどの主要株主と建設的な対話を行うことが困難となっていると、これまでの主張を繰り返し記載している。安全関連投資や人材採用課題に関する方針といった重要な事項についても、株主として説明を受けていないという。
中でも特に、AGP経営陣が昨年の定時株主総会で取締役の報酬枠を実質的に2倍以上に増額させる議案を上程したことについて言及。主要株主にも十分な説明がなく、突然の上程だったため、議案のいずれもが否決される〈異例の事態〉に至ったとしている。
また、AGP側は非公開後の経営責任についての在り方についても質していたが、これについても、大株主3社は株主間契約に基づき、AGPの適切な経営体制を構築するとし、〈非公開化後に経営責任の所在が不明瞭になるということはなく、新しいAGPの経営体制が責任をもって経営を推進していく〉とした。
さらにAGP側は、同社が今回の株主提案をめぐって5月1日に設置した「ガバナンス検証委員会」(委員長=山口利昭弁護士)の検証結果を確認したうえで「最終判断」を行うよう、JAL側に求めていた。しかし、これについてもJALの取締役会は全会一致の承認に基づいて株主提案を実施しており、〈最終判断は完了しております〉と切り捨てている。
そして、書面を以下のように結んだ。
〈AGPは、本件についてJALの代表取締役社長との対話を複数回正式に申し入れた旨述べておられますが、JALとして、そのような申し入れがなされたという認識はございません。むしろ、JALは、2025年1月17日にAGPへ非公開化の打診を行って以降、非公開化の協議に応じていただけるよう、面談の設定をAGPに対して再三お願いしてきたものの、AGPには面談にも応じていただけなかったものと認識しております。一方、AGPから繰り返し行われた書面での質問に対してJALは真摯に回答をしてきたと認識しております。〉
今回、JALがAGP側への回答を公開したことで、書面の遣り取りなど事実関係においても食い違いを見せ、激しさを増す両社の応酬。JAL、日本空港ビル、ANAHDの3株主に73%の株式を保有される中、AGPはホームページのフロント画面に《日本航空からの株主提案に関する重要なお知らせ》なる特設コーナーへの誘導口を設置している。
5月20日頃を予定するAGPガバナンス委の検証結果の公表が待たれるところだ。
20:30【JAL】株式会社エージーピーからの2025年5月13日付書面に対する回答に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250520558993.pdf