前日5月20日の日経平均株価は前日比30円高の3万7529円で取引を終えた。5営業ぶりの反発。そんな20日の適時開示は376件だった。
JALコーポレート・ガバナンス報告書の突然変更に「矛盾なし」
東証プライム上場の日本航空(JAL)は5月20日、持分法適用会社でスタンダード上場のエージーピー(AGP)を非公開化する株主提案をめぐって、同社の「特別委員会」からJAL取締役9名に寄せられていた5月13日付の質問状に対する回答を公表した(本誌記事参照)。
JALは4月末、国内主要空港で電力等を供給するAGPに対し、同社と2位株主の日本空港ビルデング、3位株主のANAホールディングス(HD)の3社のみを株主とする株式併合と、それに伴う非公開化を提案している。
JALの株主提案に対し、AGP取締役会は現時点では正式に反対表明こそしていないものの、「少なくとも現時点においては、同意していない」として、5月13日付で、社外取締役ら3人で構成する特別委員会がJAL全取締役に対して質問・要望書を送付し、鳥取三津子社長宛ての書面を公表していた。
JALが今回公表したのは、AGP特別委の3委員宛ての〈取締役9名全員の総意〉とする執行役員名義の回答書。そこで、JAL側は非公開化の目的を株主構成による利益相反構造を解消し、3株主との協業・連携を加速させるものと改めて表明している。
一方、AGP特別委側は、今年3月24日付開示のJALの「コーポレート・ガバナンス報告書」(CG報告書)が、株主提案の発表と同日の4月25日付で突然書き換えられたとし、その真意、矛盾について質していた。実際、3月24日付のCG報告書で、JALはAGPを上場関連会社として保有することの合理性や、上場会社関連会社の意思決定プロセスへのJALの関与はないと記載をしていたが、4月25日付のCG報告書ではAGPを非公開化する方針に当該部分の内容を修正していた。
AGPの非公開化をめぐっては今年1月にJAL側から提案されたのを皮切りに、その後、両社で遣り取りが行われてきたという。そのような中でAGP側は4月9日付でJAL取締役に対し、CG報告書の記載内容に関する質問書面を送付したものの、JAL側から回答はないとしていた。しかし今回の書面では、JALは4月23日付でAGP側にすでに回答していると明かしている。
そして、4月25日付でCG報告書の記載を変更したことに関しては、JALがAGPの非公開化の株主提案を行うことを同日付で決定したことに伴い、〈(上場関連会社としてAGPを維持することから)前提が変わったため〉で、4月9日付のAGP書面を受けての変更ではないとしている。
JALのAGPへの反論はこれ以外にも続く。