東京ソワール「筆頭株主フリージア・マクロス」対策で“株主総会検査役”決定【2025年3月17日「適時開示ピックアップ」】

スタンダード上場で婦人用アパレルの東京ソワール(東京・銀座、小泉純一社長)は3月17日、28日開催予定の定時株主総会の「検査役」が選任されたと発表した。同社が4日、東京地裁に選任を申し立てていたもので、総会の招集の手続きおよび決議の方法を調査させるためという。

【東京ソワール】株主総会検査役の選任に関するお知らせ

「株主総会検査役」とは

今回、東京ソワールの定時株主総会検査役に選任されたのは、進士肇弁護士(篠崎・進士法律事務所)。同事務所のサイトによると、平成5年(1993年)弁護士登録。倒産処理法、不動産取引法などを得意分野とし、現在、スクウェア・エニックス・ホールディングスなどで社外取締役(監査等委員)を務める。

株主総会検査役は、総会の招集手続きや決議方法について調査・記録を実施する役割を担うが、裁判所が選任、総会の内容を裁判所に報告するという中立・客観的な立場である。

一般的に、検査役の選任を申し立てるのは、会社側(取締役)と株主が対立、総会が紛糾するケースを想定してのこと。会社側が申し立てる場合もあれば、株主が申し立てる場合もあるが、株主は議決権1%以上の保有者に限られ、さらに上場企業では6カ月以上の保有という要件が加わる。

近年、検査役の選任を求める企業が増えているといい、その背景には、アクティビスト(物言う株主)の活動が活発化していることがある。とりわけ、株主提案権の行使をめぐって会社側と一部株主側の対立が先鋭化することも想定される。

なお、今回選任された進士弁護士は東京ソワールのほかに、ニッドやLIXILグループ(現LIXIL)、NCホールディングスで株主総会検査役を歴任してきたという。

「佐々木ベジ氏」との5年越しの攻防

東京ソワールでは、スタンダード上場で産業機器メーカーのフリージア・マクロス(東京・千代田区、奥山一寸法師社長)が筆頭株主として同社株16.97%を保有(昨年末時点)している。ここ数年、佐々木ベジ会長が率いるフリージア社と対立を深めてきた経緯がある。

なお、佐々木氏は東京ソワールと同業でスタンダード上場のラピーヌ(大阪・箕面市)の社長も務める。実際、東京ソワールとの問題については2022年に信用調査会社の東京商工リサーチが、「不振・倒産企業の再生請負人」として佐々木氏をインタビューしている。

一方、東京ソワールは冠婚葬祭用の婦人フォーマルウェアが主力。新型コロナウイルス禍最中の20年12月期の売上高は102億円で、19億円の当期純損失だったが、22年12月期は売上高142億円、純利益5億円を計上、24年12月期も売上高157億円、純利益5億円で着地した。

そんな中、いまだ17%弱の株式を握るフリージア社に対しては今年2月14日、《フリージア・マクロス株式会社及びその関係者による大規模買付行為等の対応方針(買収防衛策)の継続に関するお知らせ》とのリリースを発表。21年6月に導入を決定した「買収防衛策」を継続することを改めて打ち出した。

【東京ソワール】フリージア・マクロス株式会社及びその関係者による大規模買付行為等の対応方針(買収防衛策)の継続に関するお知らせ

ただ、PBR(株価純資産倍率)は0.3倍程度と株価が低迷している状況。5年越しの攻防だが、果たして、3月28日の株主総会の行方やいかに。