【2024年12月19日「適時開示ピックアップ」】日テレHD、ソニー、KADOKAWA、大黒屋、メルカリ、日軽金HD、いすゞ、ツルハHD、JSB
12月19日木曜日の東京株式市場は5日続落した。終値は前日比268円安の3万8813円銭だった。前日の米国株の下落が響いた。そんな19日の適時開示は198件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。
「日本テレビHD」読売グループ総帥ナベツネ氏を悼む
東証プライムの日本テレビホールディングス(HD)は、取締役で読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄氏(98)が12月19日に死去したと発表し、「生前のご厚誼に深謝いたします」とコメントした。
1950年に読売新聞に入社し、政治部で頭角を現した。その後、読売を長らく率いることになった渡辺氏。「ナベツネ」と愛され、恐れられていた。新聞の発行部数に強く執着を持っていたという。
それでも1000万部を超えていた読売新聞の部数は、いまや580万部(2024年8月)。ナベツネ氏の死去で、「紙の新聞の時代が終わったような気がする」という声がマスコミ関係者から出ている。
ところで、ナベツネ氏と日テレをめぐっては、04年に「名義株」問題が発覚。ナベツネ氏の個人持ち分について大きく下方修正するという異例の事態があった。また、近年は日テレHD取締役会への出席率の低下が取り沙汰されていた。
とはいえ、いまだ読売新聞グループ本社は日テレHD株の14.52%を所有する筆頭株主(24年3月末現在)。22年には同社社長の山口寿一氏が代表取締役取締役会議長に就任、代取会長も読売新聞経済部出身の杉山美邦氏という読売による日テレ支配の状況が続く。
こんな両社の強固な体制は続くのかはともかく、ナベツネ氏に合掌。
【日本テレビHD】取締役の死去及び役員の異動に関するお知らせ(訃報)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241219541207.pdf
「ソニー」が「KADOKAWA」の筆頭株主に
東証プライムのソニーグループは、出版大手で同じくプライム上場のKADOKAWAと戦略的な資本業務提携契約を結んだと発表した。
2025年1月7日に第三者割当でソニーが約500億円でKADOKAWAの新株式1205万株を取得。ソニーはKADOKAWAの10%の株式を保有する筆頭株主となる。
今後、映画やアニメの共同制作などを検討するというが、東京五輪スポンサーをめぐる贈賄事件で創業家出身の角川歴彦元会長が係争中という状況。一大メディアグループの求心力の行方、そして、コーポレートガバナンスを考えるうえでも目が離せない。
【ソニーグループ】株式会社KADOKAWAとの戦略的な資本業務提携契約の締結について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241219541109.pdf
古物商「大黒屋」とフリマ「メルカリ」が業務提携
東証スタンダードで中古ブランド品売買の大黒屋ホールディングス(HD)は、プライム上場でフリーマーケットサービスのメルカリと協力して新たな取引を12月19日から始めると発表した。
一般のユーザーがメルカリに出品した商品に対し、大黒屋が金額を査定。その金額を使って「買取リクエスト」が出品者に送付される。その金額で納得すれば、メルカリが買い取って大黒屋に売却する仕組み。
出品者の選択肢の拡大につながる新サービスとしている。
【大黒屋HD】当社連結子会社の株式会社大黒屋における株式会社メルカリとの 業務提携に基づく共同事業の開始のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241219540888.pdf
「日軽金HD」と「いすゞ自動車」合弁企業が公取委の検査
東証プライムの日本軽金属ホールディングス(HD)は、子会社で輸送用機器メーカーの日本フルハーフ(神奈川・厚木市、非上場)が公正取引委員会による立ち入り検査を受けたと発表した。
対象は日本フルハーフが製造・販売する特装車などで、その販売価格決定に関して独占禁止法違反の疑いがあるという。
日軽金HDは「立ち入り検査を厳粛に受け止め、公正取引委員会に全面的に協力してまいります」とコメントした。ちなみに、日本フルハーフのホームページによると、筆頭株主は66%を保有する日軽金HDだが、第2位は34%のいすゞ自動車となっている。
【日本軽金属HD】公正取引委員会による当社連結子会社への立ち入り検査について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241218540771.pdf
ドラッグストア「ツルハHD」が決算発表を延期
東証プライム上場のドラッグストア大手、ツルハホールディングス(HD)は、12月20日に予定していた2025年2月期中間決算の発表を延期する。
同社は監査法人トーマツから「転貸損失引当金」と「店舗閉鎖損失引当金」の計上に誤りがあるとの指摘を受け、協議を続けてきた。まだ終了しないため、決算の内容を確定できず、発表も延期するとしている。
【ツルハHD】「過年度の当社連結財務諸表に関する誤謬が存在する可能性の判明」及び「2025年2月期第2四半期決算発表の延期」に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241219541203.pdf
社外取弁護士が脱税逮捕「JSB」今度は“経費問題”で株主総会を継続会に
東証プライム上場で学生マンションなど不動産業のジェイ・エス・ビー(JSB、京都市)は、2025年1月28日の開催予定の株主総会について、継続会を開くことを決めた。
取締役の経費の使い方に疑義が生じ、監査に一定の時間が必要と説明している。継続会で決算を報告するとしている。11月21日付で特別調査委員会から報告書を受領したものの、当初想定の範囲を超える事実が認識されたためという。
また、JSBでは本誌既報の通り、11月に社外取締役だった弁護士の鈴木康之氏が東京地検特捜部に脱税容疑で逮捕、12月に社外取を辞任する異常事態が発生している。同社のコーポレートガバナンスは大丈夫なのか。
【ジェイ・エス・ビー】第36回定時株主総会の継続会の開催方針に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241219541324.pdf
(平日連載、2024年12月20日公表分に続く)
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