検索
主なテーマ一覧

【2024年12月17日「適時開示ピックアップ」】富士ソフト、日本ファルコム、大和工業、兵機海運、三菱製鋼

12月17日の東京株式市場は3日続落した。日経平均株価の終値は、前日比92円安い3万9364円だった。利益確定売りが続いていると見られる。そんな17日の適時開示は120件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

米投資ファンド「富士ソフト」争奪戦、またもやKKRに軍配

東証プライムでシステム開発の富士ソフトは、米投資ファンドのベインキャピタルによる株式公開買い付け(TOB)に反対し、引き続き、同じく米投資ファンドのKKRのTOBに賛同することを決めた。

ベインは、12月11日に富士ソフトのTOB価格を9450円から9600円に引き上げるということで再提案していたが、富士ソフトの姿勢は変わらなかった。今回の決定について、富士ソフトは、ベインによるTOBがKKRの計画よりも3カ月ほど遅れる可能性があると指摘し、「(KKRと比較して)企業価値の向上になお疑義が残る」などと説明している。

今後、ベインが断念するのか、それとも同意のない状態でTOBの手続きに進むのか注目だ。米投資ファンドの草刈り場になった格好の富士ソフトの今後に引き続き注目が集まる。

【富士ソフト】株式会社 BCJ-88 による当社株券等に対する 公開買付けに係る当社取締役会の意見(反対)に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241217540015.pdf

「日本ファルコム」創業者で“ネットゲームのパイオニア”が死去

東証グロース上場で、プレイステーションプ向けのゲームソフトを開発する日本ファルコムは、取締役会長の加藤正幸氏(78)が死去したと発表した。

加藤氏は1981年、日本ファルコムを創業。ネット上では「黎明期から業界を支えたネットコンピューターゲームのパイオニア」となどと悼む声が出ている。

加藤氏の死去を受け、日本ファルコムは12月19日に開催する株主総会の議案を修正。加藤氏を含む取締役6名選任の議案について、取締役5名に変更した。なお、加藤氏は40.46%の筆頭株主、日本ファルコムホールディングスの代表取締役であるうえ、個人でも11.18%を保有する第2位株主だった。

【日本ファルコム】取締役会長の逝去及び役員の異動に関するお知らせ(訃報)https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241216539402.pdf

【日本ファルコム】「第 23 期定時株主総会」付議議案の一部撤回について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241216539418.pdf

TOB仕掛けられた「兵機海運」が「大和工業」と資本提携を検討

東証プライム上場の鉄鋼メーカー大和工業(兵庫・姫路市)は、東証スタンダード上場の海運会社、兵機海運(神戸市)との提携を加速させるため、両社で覚書を結んだと発表した。

覚書では、シナジー効果を出すことを目的として、海上輸送や荷役業務の効率化や、船員確保に向けた取り組みなどを挙げている。株式の持ち合いなど資本提携も検討しているという。

本誌でも複数回既報だが、兵機海運に対しては、正体が判然とない堂島汽船なる未上場企業がTOBを実施。12月5日に終了したものの、兵機海運株式の1.24%の獲得にとどまっていた。大和工業との資本提携の動きは、実質的な買収防衛策の意味合いもあるようだ。

【大和工業】兵機海運株式会社との覚書締結に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241217539669.pdf

「三菱製鋼」供給側の部品価格改定認める米裁判所判決で6億円特損

東証プライム上場で建材や自動車向けの特殊鋼メーカー三菱製鋼は、米ミシガン州で取引先と部品価格をめぐる訴訟で判決の言い渡しがあったと発表した。

判決は、同社の米国子会社MSSC社に対し、約5億1000万円と遅延損害金をサプライヤーのFlexible社に支払うよう求めている。

三菱製鋼のリリースによると、MSSCに部品を供給するFlexible社が2019年12月に供給する部品の価格改定を要求し、「実現されなかった場合は部品の供給を停止する」と通知。これに対してMSCC社は供給継続を求めて仮執行命令を裁判所に申し立て、現行価格での継続が認められた。Flexible社はこの後も、控訴・上告と訴訟を続け、裁判所で審理が進められてきたという。

三菱製鋼は2025年3月期決算で6億4600万円の特別損失を計上する。海外子会社リスクと言えよう。

【三菱製鋼】当社子会社に対する訴訟の判決及び特別損失の計上に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241217539588.pdf

(平日連載、2024年12月18日公表分に続く)

ランキング記事

ピックアップ

  1. 【米国「フロードスター」列伝#4】シティグループで25億円横領した“ジャマイカから来た元少年”…

    今回は、本誌「Governance Q」と公認不正検査士協会(Association of Certified Fraud Examiner…

  2. 【2024年12月19日「適時開示ピックアップ」】日テレHD、ソニー、KADOKAWA、大黒屋、メル…

    12月19日木曜日の東京株式市場は5日続落した。終値は前日比268円安の3万8813円銭だった。前日の米国株の下落が響いた。そんな19日の適…

  3. 吉田兼好「何方をも捨てじと心に取り持ちては、一事も成るべからず」の巻【こんなとこにもガバナンス!#4…

    栗下直也:コラムニスト「こんなとこにもガバナンス!」とは(連載概要ページ) 「何方をも捨てじと心に取り持ちては、一事も成るべからず」吉田兼好…

  4. 【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#6】豪英リオティント、エクイノール、英BP、仏トタル、日本ケミ…

    豪英リオティント経営陣、ロンドン上場廃止要求を拒否 豪シドニー、英ロンドン両市場に二重上場する資源大手リオティントの経営陣に対し、物言う株主…

  5. 十二月大歌舞伎「あらしのよるに」と株主価値の最大化原則【遠藤元一弁護士の「ガバナンス&ロー」#7】…

    遠藤元一:弁護士(東京霞ヶ関法律事務所) 歌舞伎版「あらしのよるに」を見て考えたこと 12月に入り今年も残すところあとわずか。先週、歌舞伎座…

  6. 【ベーカー&マッケンジー 井上朗弁護士が徹底解説】トランプ政権は日本企業のガバナンスにどう襲…

    ベーカー&マッケンジー法律事務所・井上朗弁護士 ドナルド・トランプ次期米政権の政策の輪郭が、見え始めてきた。「アメリカ・ファースト」…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス