【2024年11月27日「適時開示ピックアップ」】日本電解、能美防災、岡部、EIZO、ホームポジション、いなげや、丸紅

11月27日水曜日の東京株式市場は続落した。日経平均株価は前日から307円値下がりし、3万8134円で引けた。前日に引き続き、トランプ次期米大統領による関税引き上げに対する懸念や、為替相場が円高に振れたことが影響したと見られる。そんな27日の適時開示は215件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

銅箔「日本電解」販売不振や銅価格の急騰で民事再生手続き

各種報道にもあるように、東証グロース上場の電子部品用銅箔メーカー、日本電解(茨城・筑西市)は、民事再生手続きの開始を東京地裁に申し立てたと発表した。

同日(11月27日)に東京地裁から、弁済禁止等の保全処分と監督命令が出され、小畑英一弁護士(TF 法律事務所)が監督委員に選任された。負債総額は147億円で、事業を続けながらスポンサーを探す。

日本電解によると、これまで電気自動車市場の拡大などで売り上げを伸ばし、2022 年3月期は売上高206 億円、営業利益 10 億円となった。だが、スマートフォン需要の減退などでその後、赤字となり、23 年3月期は売上高が170 億円に減少。

さらに販売不振や銅価格の急騰による損失が広がり、資金に詰まることが見込まれ、直ちに収益が改善する見込みも乏しかったと説明している。

なお、筆頭株主は02年法人設立のテックス・テクノロジー(非上場、東京・千代田区)で、20.85%を保有していた(今年3月末現在)

【日本電解】民事再生手続開始の申立て並びに海外子会社の解散及び清算に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241126529844.pdf

「能美防災」資格なしで資格を取得? 外部調査委を設置

東証プライム上場で総合防災設備メーカー最大手の能美防災は、一部の従業員が、資格を満たさない状態で、技術検定試験を受験し、「監理技術者」の資格を取得していたと発表した。

試験を受けるには、建設業法で定められた一定の「指導監督的実務経験」が必要だったという。内部通報がきっかけで発覚した。

能美防災は陳謝するとともに外部調査委員会を設置して詳しく調べる方針。外部調査委員会は、 委員長が寺田昌弘弁護士(三浦法律事務所パートナー)で、委員は坂尾佑平弁護士(同)、齋藤亮太弁護士(同)の3人で、事実確認とともに原因の究明、再発防止策について検討する。

能美防災は大正5(1916)年創業で、同社サイトでは「防災事業のパイオニア」を謳っており、事実、創業者の能美輝一は大正12年に発生した関東大震災の惨劇を目の当たりにして、防災分野へ乗り出していったという。高邁な理念を源流としながらの今回の不正。コーポレートガバナンスの根幹をなす企業文化のさらなる浸透が求められる。

【能美防災】実務経験の不備および外部調査委員会の設置について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241127529866.pdf

「岡部」倒産した米国子会社の“大気汚染訴訟”が和解へ

東証プライムで建設向け型枠や構造機材を扱う岡部は、米国の訴訟で和解に至ったと発表した。

岡部の米国にある子会社ウォーター・グレムリン・カンパニー(ミネソタ州、WG社)は2023年1月、大気汚染物質の放出をめぐり、地域住民から損害賠償請求訴訟を起こされていた。

一方で、WG社は、23年10月に米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続きを申請。この中で訴訟の調停も行われ、岡部が約22億円を関連団体に拠出することで基本合意した。岡部はこの22億円を特別損失として24年12月期に計上する方針だ。

【岡部】米国における訴訟に関連する和解についての基本合意及び特別損失の計上に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241127530416.pdf

映像モニター「EIZO」石川県の地震で被害はなし

東証プライム上場で映像モニターなどを手がけるEIZO(石川・白山市)は11 月26日午後 10 時47分ごろに発生した石川県西方沖を震源とする地震について、従業員のほか、建物や生産設備に被害はなかったと発表した。

この地震は能登半島で震度5弱を記録。北陸新幹線が一時、運転を見合わせた。

【EIZO】石川県西方沖を震源とする地震の影響について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241127529888.pdf

戸建て分譲「ホームポジション」当期純損失で1年間、報酬を減額

東証スタンダードで戸建て分譲のホームポジション(東京・日本橋)は、伴野博之社長の月額報酬を25%減額すると発表した。期間は今年12月から来年11月まで1年間。10月10日公表の2024年8月期で6億9000万円の当期純損失となった責任をとるという。

【ホームポジション】役員報酬の減額に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241122528064.pdf

ユナイテッド・スーパーHD傘下入りで「いなげや」が上場廃止

東証プライム上場で、首都圏でスーパーを展開するいなげやは、11月28 日で上場廃止になると発表した。

マルエツは2015年3月、カスミ、マックスバリュ関東とともに持ち株会社となるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(HD、東証スタンダード上場)を設立。ユナイテッドとの株式交換で同社の完全子会社に。ユナイテッドの店舗数は関東で533店(11月15日現在)となる。

【いなげや】当社株式の上場廃止に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241126529715.pdf

「丸紅」の社長交代 大幅に若返る

東証プライムの丸紅は、来年4月1日付で新社長に大本晶之常務執行役員が昇格する人事を発表した。

大本氏は早稲田大学商学部卒業の55歳で、会長になる柿木真澄社長(67)から大幅に若返る。「14人抜き」(日経電子版)との報道もある。大本氏は、1992年4月に丸紅に入社後、2006年4月にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入り、翌年の07年10月に丸紅に再入社したという“出戻り”の経歴だ。

ちなみに、丸紅の「会長・社長人事」のリリース配信は16時ジャスト、片や、日経電子版の報道は15時55分付で《日経スクープ》とのタグが付いており、〈日経が先駆けて報じた最新のニュース〉という。

5分間の差が一般読者にとってどれほどのスクープかは不明だが、投資家の観点からも適時開示の公平性が求められる時代、特定のメディアへのリークの扱いはコンプライアンス上、ひいてはコーポレートガバナンス上問題にならないのか、疑問が残る。

【丸紅】会長・社長人事に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241127530328.pdf

(平日連載、2024年11月28日公表分に続く)