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【2024年11月18日「適時開示ピックアップ」】ミガロHD、GENOVA、デザインワン・ジャパン、LIEH、日東工器、フォーシーズ

11月18日の東京株式市場は反落した。前営業日から422円安の3万8220円で引けた。米国の新興企業が多く上場するナスダック市場の下落を受けたと見られる。そんな18日の適時開示は172件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

投資用マンション「ミガロ」代表所有株式の売却を取りやめ

東証プライムで投資用のマンションを手がけるミガロホールディングス(HD、東京・新宿区)は、中西聖社長が保有する株式の売却を取りやめると発表した。当初、プライム市場の上場基準(流通比率が35%以上)の適合に向け、中西氏の持つ74万3600株(全体の5.09%)を上限に売却する方針を公表していた。

だが、株主や投資家から難色を示す意見が出たため、「これらを総合的に勘案し、売却方針を取り下げる 方が、株主・投資家の皆様及び当社にとって有益であるとの判断に至った」と説明している。

ちなみに、中西社長は1977年生まれで、西砂建設を振り出しに2004年にプロパティーエージェントを設立、他にも複数の会社の役員を務め、23年10月にミガロHDの社長に就任したいという経歴。

片や筆頭株主は未上場のアールジェイピー(東京・六本木)で、発行済み株式数の52.78%を握る(今年3月末現在)。同社代表は第2位株主の中西社長が務める(23年6月時点)。上場基準という強い縛りがある中、ミガロHDはどのようなコーポレートガバナンスを構築するのだろうか。

【ミガロホールディングス】(開示事項の経過) 流通株式比率向上のための代表取締役社長の株式売却方針に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241118525458.pdf

「GENOVA」プライム昇格で株式売り出しと自社株買いを同時発表

東証プライム上場でクリニック向け業務効率化サービスを展開するGENOVA(東京・渋谷)は、株式の売り出しと自社株買いを同時に発表した。株式を売却するのは、平瀬智樹社長と大株主で、計236万株を予定している。

GENOVAは今年9月にグロースからプライムに上場市場区分を変更したが、株式の時価総額基準(100億円以上)について、「一定期間を通じた安定的な充足までには至っておらず、当社普通株式の流動性のさらなる向上が重要な課題である」と説明し、時価総額を基準に安定的かつ長期的に適合させるや、株主層の拡大を目的としている。

また、この売り出しに伴い、株価下落など需給への影響が懸念されることを理由に自社株買いも発表した。50万株(全体の2.8%)で最大9億円を見込んでいる。

【GENOVA】株式の売出しに関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241118525563.pdf

【GENOVA】自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ (会社法第 459 条第1項の規定による定款の定めに基づく自己株式の取得)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241118525576.pdf

流通株式の時価総額基準抵触「デザインワン・ジャパン」改善案を策定

東証スタンダードで商店の情報サイト「エキテン」などを運営するデザインワン・ジャパン(東京・新宿)は、上場基準の適合に向けた計画を策定した。

スタンダード市場では、流通株式の時価総額を10億円以上と定めているが、今年8月末時点で9億7000万円と基準を満たさない状況にあった。計画では、サイトの改修でエキテン事業を強化するほか、コスト削減やIR(投資家情報)活動に力を入れるとしている。

【デザインワン・ジャパン】上場維持基準への適合に向けた計画
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241115525205.pdf

「LIEH」調査報告書が“上場に値しないといっても過言ではない”

本サイト「GovernanceQ」でも既報の通り、東証スタンダード上場で食品流通のエルアイイーエイチ(LIEH、東京・銀座)は、前社長の福村康廣氏による不適切な送金の疑いなどを調べていたガバナンス委員会の答申を受領したと発表した。答申した調査報告書も公表した。

報告書では福村氏について、①取締役会の承認を経ないで自己の報酬を増やし、資金を流出させ、善管注意義務などが認められる。1億2000万円の返還義務がある、②12億円の資金移動及び2億円の着服行為について特別背任罪が成立し得る――などと厳しい内容となっている。

「本件のような経営状況が継続するのであれば、当社は上場に値しない会社であるといっても過言ではなく、早急に経営体制を改めるべきである」と報告書を結んでいる。

LIEHは、ガバナンス委員会の提言に従って福村氏を取締役から解任する方針で、12月中旬に開催予定の臨時株主総会に諮る。また、福村氏に約1億8000万円の損害賠償請求訴訟を起こしたことや、下岡寛社長が12月から3カ月間、報酬を20%減額するなどの対応も公表した。

【エルアイイーエイチ】ガバナンス委員会の答申書受領のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241118525857.pdf

「日東工器」内部統制は“有効”から“重要な不備”に訂正

東証プライム上場で配管の簡易接続器具メーカーの日東工器(東京・大田区)は、2022 年3月期~24年3月期の内部統制報告書について、「内部統制は有効」から「開示すべき重要な不備があった」に訂正した。

日東工器では、原材料や資材部品など在庫の過大評価といった不適切な会計処理の疑惑が発覚。特別調査委員会を設置して調査。委員会は三宅英貴弁護士(アンダーソン・毛利・友常法律事務所)が委員長で、公認会計士の藤田大介(KPMG FAS)、的場美友紀弁護士(笹浪総合法律事務所)の2人が委員。22年3月期~24年3月期の有価証券報告書などを訂正していた。

【日東工器】財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241118525691.pdf

福岡・化粧品通販「フォーシーズHD」監査法人側から契約を辞退

東証スタンダード上場で化粧品・健康食品の通信販売、フォーシーズHD(福岡市)は、会計監査人を海南監査法人(所属の公認会計士15人)から監査法人ウィズ(同6人)に変更すると発表した。

海南は2021年12月から監査人を務めているが、監査コストが増大するなどして「適切な監査チームの編成が困難」と新たな契約を辞退してきたという。監査費用などを総合的に検討してウィズにしたと説明している。今年12月20日の定時の株主総会に諮る。

【フォーシーズHD】会計監査人の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241118525714.pdf

(平日連載、2024年11月19日公表分に続く)

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