【2024年11月6日「適時開示ピックアップ」】フィデアHD、プラコー、兵機海運、京王電鉄、富士ソフト、ＩＨＩ、トヨタ

11月6日の東京株式市場は大幅に続伸した。日経平均株価、前日比1005円高の3万9480円で終わった。米大統領選でトランプ氏優勢という報道を受け、円安が進むと見て買いが優勢になったようだ。結局、トランプ氏の当確となったわけだが、本日７日は一時400円安を付ける局面となり、「トランプ高」は息切れとの日本経済新聞報道も出ているほど。世界中がトランプ氏を注視した６日の適時開示は507件で、この中からコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

日経に新銀行名をスクープされた「フィデアHD」が弁明リリース

東証プライムのフィデアホールディングス（HD、仙台市）はこの日の午後6時、「本日の一部報道について」というリリースを出した。午後に日経新聞の電子版が、子会社の荘内銀行（山形県鶴岡市）と北都銀行（秋田市）が合併にして発足する新銀行の名称が「フィデア銀行」にする方針を固めたと報じたことに対し、「当社が発表したものではありません」とした。

ちなみに2026年度中の合併に向けて検討を進めており、11月8日に取締役会を催す予定で、「開示すべき事項が生じた場合には、改めてお知らせいたします」とも記しており、8日の発表の可能性は濃厚。果たして、新銀行名は“日経スクープ”と同じものになるのか。はたまた、違うものになるのか――。ただ、この手のメディアによる特報は、ともすれば、当該企業の情報管理の“甘さ”を問う深刻な問題も孕んでいる。

【フィデアHD】本日の一部報道について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241024502287.pdf

「プラコー」が大阪の廃棄物業者を“工事代金未払い”で提訴

東証スタンダード上場で、プラスチック成形機械やリサイクル機器メーカーのプラコー（さいたま市）は、栄伸開発（大阪市）に対し、請負代金の支払いを求めてさいたま地裁に提訴したと発表した。大阪湾岸のリサイクルプラントで、プラコーは栄伸開発の指示で請負契約に含まれない工事を実施したという。報酬を求めたが、栄伸開発が応じないため提訴したとしている。

【プラコー】訴訟提起に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241106512730.pdf

「兵機海運」が敵対的TOBめぐり買付側と攻防

東証スタンダードの兵機海運（神戸市）は、TOB（株式の開買い付け）を仕掛けてきた堂島汽船（大阪市、2024年9月設立、資本金100万円）が質問に対する回答を提示したと発表した。質問と回答は多岐にわたる。

TOBについては事前の同意はなかったようで、兵機海運側は「事前に協議することなく、突然、買付けを開始することが当社のステークホルダーにもたらす混乱、ひいては当社の企業価値に及ぼす影響について、いかなる評価・検討を行った結果、踏み切られたのか」と質問している。

これについて、堂島汽船側は、TOBは、期間中に検討する手続きであることを強調し、「株式の取得を通じて資本業務提携を実現し、企業価値を向上させることが可能で、ステークホルダーの利益に資する」と回答し、政府が示したルールやガイドラインを守っていることも強調した。

【兵機海運】堂島汽船株式会社による当社株券に対する公開買付けに係る対質問回答報告書の提出について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241106513278.pdf

「京王電鉄」が京王線全駅にホームドア設置を発表

東証プライムの京王電鉄は、京王線全駅に安全柵のホームドアを設置すると発表した。これによって安全性が向上するため、自動運転化事業も本格化させる。ホームドアと自動運転化工事の費用は総額831置く円を見込む。2024度中に着手し、ホームドアは30年代前半、自動運転化は30年代中頃の竣工を見込んでいる。ホームドアに関しては、乗客が多い井の頭線を優先してきたと説明している。

ちなみに、京王はこの日、上記リリース以外にも2024年9月中間期決算や増収増益予想、自己株式取得に関する適時開示を合計5本提出している。

【京王電鉄】京王線におけるホームドアおよび自動運転設備の整備工事について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241106512508.pdf

「富士ソフト」1回目TOBで米KKRが35%取得

東証プライム上場でシステム開発の富士ソフトは、同社の株式についてTOBを実施している米投資ファンドのＫＫＲが35%の株式を取得したことを明らかにした。今回のTOBは9月5日～11月5日の第１回目との位置づけで、第2回も予定している。富士ソフトをめぐっては、同じく米投資ファンドのベインキャピタルも参戦する意向だ。

【富士ソフト】FK株式会社による 富士ソフト株式会社（証券コード：9749）に対する 公開買付けの結果に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241106512279.pdf

検査・品質不正「ＩＨＩ」が役員報酬を返上

東証プライムのＩＨＩは、今年4月に公表した船舶用のエンジンに関する「検査・品質不正」問題で、経営陣の処分を発表した。井手博社長が月額報酬の30％を3カ月分を返上。武田孝治・常務執行役員（資源・エネルギー・環境事業領域長）が同20％を2カ月、川上剛司・常務執行役員（社会基盤事業領域長）も同20％2カ月分などとしている。

【IHI】当社連結子会社における一連の不適切行為に関する役員の処分についてhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241105512053.pdf

日野自動車の認証不正で「トヨタ」が減益

東証プライムのトヨタ自動車が2025年３月期の中間決算を発表した。売上高は前年同月比5.9%減の23兆2824億円だったが、純利益は前年同月比26.４%減の1兆9000億円だった。円安傾向で売り上げは伸びたものの、日野自動車の認証不正問題が響いた。今回の中間期での販売台数は、455万6000台で、前期に比べて18万8000台（4.0%）の減少。日本では93万9000台と、13万3000台（12.4%）減少した。

【トヨタ自動車】2025年３月期第２四半期（中間期）決算短信〔ＩＦＲＳ〕（連結）https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241101509817.pdf

（平日連載、2024年11月7日公表分に続く）