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【2024年10月28日「適時開示ピックアップ」】オリンパス、東光高岳、日本ペイントHD、アルファクス・フード・システム、イメージワン

衆院選の結果が判明した10月28日月曜日の東京株式市場は大幅に反発した。日経平均株価は前週末から691円値上がりして、この日の取引を終えた。金融市場では、総選挙が終わって悪材料が出尽くしたことや、自民・公明の与党両党で過半数を割り込んで野党の協力を得て政権運営を進めなければならないことから、金融緩和が継続するとの観測が強まり、円安と株高が同時進行したと見られる。そんな総選挙明けの28日の適時開示は270件で、この中からコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

東電グループ「東光高岳」検査・品質不正問題で改善策公表

東証プライム上場で変電設備などを手掛ける東光高岳(とうこうたかおか)は、これまでの不適切な検査や品質管理を反省し、コンプライアンスを優先した改善策《安全・品質・コンプライアンスを最優先とする企業へ再生するための改革策》を公表した。

内容は、①安全・品質・コンプライアンスを最優先に考える文化を醸成する、②現場と経営のコミュニケーションの活性化――など4つ改革を掲げた。同社では2021年8月から、いわゆる「検査・品質不正」問題が相次いで発覚。この日、「経営上の責任を明確にする」として一ノ瀬貴士社長が月額報酬を3カ月間50%減額にするほか、電力機器事業本部長などを務めてきた取締役常務執行役員の鈴木広人氏が取締役を退任して執行役員に降格することなども発表した。

なお、東光高岳の筆頭株主は東京電力パワーグリッドで、34.97%の株式を保有する(24年3月末現在)。グループガバナンスの観点からも、今後の改革策の達成状況に要注目と言える。

【東光高岳】一連の不適切事案の反省・教訓を踏まえたSQCファースト改革 及び役員の人事措置について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241028503633.pdf

「日本ペイントHD」米国化学メーカーを子会社化

東証プライム上場の日本ペイントホールディングス(HD)は、米国の化学メーカーAOCを買収すると発表した。AOCは、建築物や輸送機器などに使われるコーティング剤や接着剤や着色剤などを製造。AOCの売上高は2169億円(2023年12月期)で、全株式を取得して25年前半に子会社化する。日本ペイントはこのところ、海外で企業買収を続け、世界有数の塗料メーカーに成長している。

現在は日本興業銀行(現みずほ銀行)出身の若月雄一郎氏とシンガポール出身のウィー・シューキム氏の2人が共同社長だが、会長には日本ペイントHD筆頭株主のシンガポール塗料大手ウットラムグループを率いるゴー・ハップジン氏を戴く。21年4月までは、三菱UFJフィナンシャル・グループで副社長まで上り詰めた田中正明氏が会長兼社長を務めていた。

【日本ペイントホールディングス】グローバル・スペシャリティ・フォーミュレーターAOC社の 持分取得(子会社化)に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241028503868.pdf

「オリンパス」ドイツ出身社長が“違法薬物”を購入したとして辞任

東証プライム上場のオリンパスは、執行役社長でシュテファン・カウフマンCEO(最高経営責任者)が、10月28日付で辞任したと発表した。

すでに大きく報道されているが、オリンパスはカウフマン氏が違法薬物を購入していたという通報を受け、外部の法律事務所とも相談して内部調査を進め、取締役会が「可能性が高い」と判断したと説明している。そのうえでカウフマン氏に辞任を求め、これを受け入れたという。CEOは当面、代表執行役会長の竹内康雄氏が担う。捜査機関に対しても報告したという。なお、同社が適時開示したのは28日午前8時半ちょうどで、週刊文春を含めて報道機関の先行取材はなかったようだ。

オリンパスでは2011年、英国人のマイケル・ウッドフォード社長が解任されたことをきっかけに巨額な損失隠しが刑事事件にもなったのは周知の通り。また、外国人の薬物所持では、トヨタ自動車でも2015年に米国人の役員が逮捕され、辞任に追い込まれたものの、その後、医療用の可能性が浮上するなどして不起訴処分になっている。

ドイツ出身のカウフマン氏は1968年生まれの56歳。独百貨店カールシュタットと英トーマス・クック航空(19年倒産)で人事畑を歩み、03年にオリンパス・ヨーロッパに入社。17年にオリンパス本体の執行役員、19年に取締役就任を経て、23年4月から社長を務めていた。

【オリンパス】代表執行役の異動について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241028503397.pdf

山口システム会社「アルファクス・フード・システム」でインサイダー疑惑

東証グロース上場で飲食店向けの経営システム開発会社のアルファクス・フード・システム(山口県山陽小野田市)は、同社の株取引をめぐり、証券取引等監視委員会から課徴金命令の勧告が出たと発表した。

同社が2023年6月30日に公表した第三者割当の新株発行に絡み、この動きを事前に知って株を買った男性弁護士ら5人に対し、それぞれ5万~775万円、総額で1511万円の課徴金を求めている。10月25日、証取委が金融庁に勧告した。同社の役員や新株引き受けの交渉していた人物が情報を漏らした疑いが出ている。

今回のインサイダー疑惑の摘発について、アルファクス・フード・システムは「深くお詫びします。今後、インサイダー取引防止を含めた法令遵守に関する教育をより一層徹底し、未然防止策を講じてまいります」とのコメントを出した。なお、同社は1993年設立で、06年に旧ヘラクレス市場に上場。23年9月期の売上高は17億8000万円、純利益は1億円余りだった。

【アルファクス・フード・システム】証券取引等監視委員会による当社株式の内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241028503499.pdf

不祥事相次いだ「イメージワン」今度は都内の会社が提訴

東証スタンダード上場で医療・衛星画像の処理を提供するイメージ ワンは、訴訟を提起されたことを発表した。

提訴したのはケイ・アイ・シー(KIC、東京・中央区、井上浩二代表)で、蓄電池の取引に絡んで4985万円の損害賠償を求めている。KICのサイトを見ると、携帯電話基地局の設計やプロジェクトの管理などを業務にしている会社だ。

イメージワンは昨年、不正な金品供与や空気清浄器の買い取りの偽装などの疑惑が相次いで発覚。第三者委員会が「本蓄電池取引の実在性は認められない」などとする報告書を出していた。本誌Governance Qでも既報の通り、9月にも別の会社から提訴されている。

イメージワンは今回のKICの提訴について、「当社はあくまでも本蓄電池取引において、ケイ・アイ・シーからバッテリーモジュールのレンタルを受けた立場である」として、賠償責任を否定する方針を示している。

【イメージ ワン】当社に対する訴訟提起に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241028504215.pdf

(平日連載、2024年10月29日公表分に続く)

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