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【2024年9月24日「適時開示ピックアップ」】エネチェンジ、日鉄、グランディーズ、ファーマフーズ 他

3連休明けの9月24日火曜日は、177件の上場企業の適時開示があった。その中からコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどに関連するものを抽出、周辺情報を交えながらお伝えする。

創業者を断罪する「改善報告書」提出のエネチェンジ

■デジタル技術を使ったエネルギーサービスを提供する東証グロース上場のエネチェンジは、「改善報告書」を東証に提出した。同社は、電気自動車(EV)の充電事業をめぐる特別目的会社(SPC)の会計処理に絡んであずさ監査法人(当時、問題発覚後に辞任)の指摘を受け、今年7月に2023年12月期の決算短信などを訂正。この過程で監査法人は内部統制上の問題点も指摘、会社側は外部調査委員会を設けるなどして対策を検討していた。今回の改善報告書では、原因として、今年7月に取締役を辞任した創業者で前最高経営責任者(CEO)の城口陽平氏への権限集中や、業績優先の経営姿勢があったとして、「取締役会及び監査役会の経営トップに対する監督機能の強化」「コンプライアンス意識の向上」などに向けた対策を盛り込んでいる。ただ、創業者が事実上追放されたスタートアップ企業の先行きは不透明と言える。

【エネチェンジ】東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4169/tdnet/2503598/00.pdf

《関連記事》エネルギーテック企業エネチェンジ「会計疑義問題」3億円の第三者委員会がシロ判定でも“創業者は追放”への疑問【会員限定】
https://cgq.jp/gq-report/5010/

■東証プライム上場の日本製鉄が、保有する韓国の製鉄大手、ポスコホールディングスの全株式を売却することを発表。表向きは、資産圧縮による資本効率の向上が目的で、戦略的提携関係は継続するとしている。売却時期は、市場の動向などを考慮して決めるという。ポスコは1973年に創業した韓国初の一貫製鉄所で、日鉄の前身である旧八幡製鉄が全面的に技術協力し、日韓産業界“協力”の象徴だったが、日鉄側が機密情報の漏洩などでポスコおよび元社員を提訴するなど(のちに和解)、ここ最近では隙間風が吹いていた。一方、日鉄は現在、米USスチールを2兆円で買収する手続きに入っているものの、全米鉄鋼労働組合(USW)が猛反対。そこに大統領選を控えたドナルド・トランプ前大統領に加え、ジョー・バイデン大統領とその後継、カマラ・ハリス副大統領がそろい踏みで日鉄による「買収反対」の気勢を上げる有り様で、予断を許さない状況だ。

【日本製鉄】ポスコホールディングス株式会社株式の売却について
https://www.nipponsteel.com/common/secure/news/20240924_100.pdf

■東証プライム上場で、非鉄金属のアーレスティは希望退職募集の結果を公表した。9月末の退職で実に158人が応募したという。事実上のリストラに絡んで7億円の特別損失を計上する見通しだが、同社のホームページによると、連結の従業員数は5590人(今年3月末時点)。同社は今年5月28日、人員削減の理由について「自動車市場は海外を中心に成長が見込まれているが、国内では受注の変動に強い収益体質への転換をすすめ、経営資源についても海外へのウエイトを高めていく方針です」とのリリースを出していた。

【アーレスティ】希望退職募集の結果及び特別損失計上に関するお知らせ
https://www.ahresty.co.jp/uploads/20240924.pdf

グランディーズ「クオカード3万円!」の安定株主対策

■九州・四国を中心に建て売り住宅やマンション販売を手がける東証グロースのグランディーズは、株主優待制度を新設すると発表した。5 単元(500 株)以上保有の株主を対象に、なんと「 QUO(クオ)カード3万円分」(年間)を配布するという。中長期的な株主を増やすことが目的というが、本業との関連性には疑問があるものの、個人投資家は好感したようで株価は高騰。ある種、現ナマを積む株価上昇策。他の企業もグランディーズの手法に続くのか。

【グランディーズ】株主優待制度の新設に関するお知らせ
https://www.grandes.jp/photo/ir_news/14/in146_list.pdf?67715187366f37627aeeff

■東証プライム上場で機能性食品素材のファーマフーズは、株主提案に反対することを表明した。この株主提案は年間の配当を1株当たり50円にすることを求めたもので、理由は「株主の信用」を回復するためだという。一方、会社側の提案はその半額の25円。会社側は「短期的な視点に立脚したものと考えざるを得ず、中長期的な企業価値の向上に繋がらない」と反対の理由を記しているが、気になるのは提案した株主の素性だ。ところが、「個人株主であるため氏名の公表は控えさせていただきます」とのこと。議決権比率で0.23%を保有しているという。小粒な会社ながら、10月24日の定時株主総会が要注目だ。

【ファーマフーズ】株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ
https://www.pharmafoods.co.jp/irlib/2024-09-24_993292e4553faaae4f6be051b593e927.pdf

(平日連載、2024年9月25日公表分に続く)

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