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【米国「フロードスター」列伝#8】世界企業「シスコ」を騙して“13万ドル不正転売男”の虚飾と末路

高給取りから“古い人材”への転落

スタンランドは、ニューヨーク市の裕福な郊外、ニューヨーク州ウェストチェスター郡に育ち、教育を受けた。そして、東海岸の伝統校でジョー・バイデン前大統領の母校でもあるデラウェア大学に進学する。しかし、わずか1年で中退し、フィットネスジムのパーソナルトレーナーとして働く。そこで出会ったクライアント夫婦の友人の伝手で、テクノロジー業界に転職した。

スタンランドは、シスコのゴールド認定パートナー企業(入社後に日系のNECコーポレーション・オブ・アメリカに買収される)に入社し、法人営業職であるアカウントマネージャーとして勤め、30代前半にして高給取りとなった。

会社では常にトップ3程度の地位を確立したが、事業のコモディティ化が進むと、次第に利幅が減少し、報酬も下がるようになった。そのことで、彼はこれまでの不自由のない生活水準を維持することに不安が生じてきた。

その上、新しい経営陣に変わり、新たに入社してきた若い社員らが評価され始めたことにより、スタンランドは職場での自身の立ち位置にも強い不安を感じた。職場での自分の「価値」が低下したのではと感じ、会社から“古い人材”として扱われ、不要な存在になるのではないかという恐れを抱いていた。

本来であれば、縮小した所得に合わせて生活水準を下げるなり、報酬アップを望むならキャリアアップを図るなり、状況に合わせた努力をすべきだろう。しかし、彼はそのような前向きな行動の代わりに、ある手段に頼ることを選択したのだった。

今回は、本誌「Governance Q」と公認不正検査士協…
シスコの“隙”を突く不正スキーム 先述の通り、…
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