【米国「フロードスター」列伝#3】偽ファンドマネージャー妻の片棒を担いだ不正共犯“主夫”の決断
父と同じ会計の道を歩み名門銀行、そして広告業界へ
ウィリアム・リヴォルシーは、1959年、北東部の合衆国発祥の地、ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれ、幼少期から父親の影響を強く受けて育った。彼は父親と同じく会計士を目指し、1851年設立で同州の名門カトリック系大学であるセント・ジョセフ大学で会計学の学位を取得。卒業後、フィラデルフィア国立銀行(現コアステート・ファイナンシャル・コーポレーション)でキャリアをスタートさせた。
その後、リヴォルシーは広告業界に転職し、ニューヨークでエンターテインメント系広告会社のCFO(最高財務責任者)に就任した。「成功への道筋は順調だった」と振り返るように、財務管理の手腕を発揮しキャリアの頂点を迎えた。しかし、私生活ではさまざまな困難に直面していたのだった。
家族と仕事の狭間で……長距離飛行機通勤から主夫へ
リヴォルシーは最初の結婚で3人の息子をもうけたが、やがて離婚。その後、リンダと再婚する。それを機に彼女の家族が住むラスベガスに引っ越し、彼はニューヨークとラスベスを行き来する生活を始めた。その距離はなんと約4600キロ。
やがて、彼女の父親を看病するため、南中部に位置するオクラホマ州への引っ越しを余儀なくされる。オクラホマ州タルサとニューヨークは2000キロ弱離れており、距離こそラスベガス-ニューヨーク間の約半分になったものの、片道3時間以上、1時間の時差もある遠隔に変わりはなかった。
リンダとの間に2人の子どもに恵まれた彼は、次第に家族との時間と、自宅と職場の長距離移動のことを考慮し、2005年、ある決断をする。「仕事での成功を追求するよりも、家族のために時間を費やしたいと思った」と語るように、彼はニューヨークの広告会社のCFOの職を退き、いわばセミリタイアをして“主夫”となったのだった。
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