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【2024年12月6日「適時開示ピックアップ」】Livenup Group、JR東日本、アイネット、兵機海運、三菱重工

12月6日金曜日の東京株式市場は5日ぶりに反落した。日経平均株価は前日から304円値を下げ、3万9091円で引けた。前日の米国株の軟調を引き継いだ格好だ。そんな6日の適時開示は169件だった。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

東証プロ「Livenup Group」会計監査人の監査終わらず継続会

東証プロマーケットの不動産開発会社のLivenup Group(リブンナップグループ、東京・港区)は、2024年12月29 日開催予定の株主総会について、後日、継続会を開くこと発表した。

会計監査人から、一部の不動産取引の監査に相応の時間を要するとの連絡があった。現時点で手続きが終了していないため、計算書類、会計監査人の監査報告などが提出できず、継続会で設定して別の日に承認を受ける。継続会の日程は今後、決める。

12月29日の総会は、役員人事と会計監査人の選任の2件を議題とする。

会計監査人の選任では、太陽有限責任監査法人から監査法人銀河(札幌市)に変える。Livenup Groupは「当社の事業規模に適した専門性、監査費用などの観点から総合的に勘案した」などと説明している。

【Livenup Group】第 22 回定時株主総会の継続会の開催方針に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241206535102.pdf

「JR東日本」が平均7.1%の運賃値上げ

東証プライムのJR東日本(東日本旅客鉄道)は、JR東日本は、2026年3月から平均7.1%(定期を含む)値上げすることを国土交通省に申請したと発表した。全面的な値上げは1987年の民営化後初めてという。年間881億円の増収を見込む。

値上げ率は普通運賃が平均7.8%、通勤定期が平均12.0%、通学定期が平均4.9%。初乗り運賃は現行の150円から160円になる。

なお、リリースによると、〈今後もサステナブルな鉄道事業を運営していくため〉としているが、今年9月には東北新幹線が時速315キロで走行中に連結が外れるという重大事故を引き起こすなど、トラブルも発生している。

【JR東日本】運賃改定の申請について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241206534982.pdf

「アイネット」ベル・データ“ランサムウェア”攻撃で顧客情報漏洩

東証プライムのクラウドサービスやデータセンターを手掛けるアイネット(横浜市)は、取引先のベル・データ(未上場、ベル・ホールディングス傘下)のサーバーから、顧客情報が漏洩した可能性があると発表した。

ベル・データは、今年9月19日にランサムウェアによる攻撃を受けて、社内情報が外部に漏洩。この中には、アイネットの顧客の名前が記載されたものもあるという。すでに関係者に把握済みの情報を伝えた。

今のところ、業績に与える影響については軽微であるとしているが、取引先はじめ関係先が被弾することで自社の情報が漏洩してしまうランサムウェア攻撃。より高度なリスクマネジメントが求められる時代となっている。

【アイネット】弊社取引先のサーバーより弊社との取引データが外部に漏洩した件(第 1 報)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241206535079.pdf

「兵機海運」が反対した“堂島汽船TOB”1.24%の取得で終わる

本誌でも複数回既報の東証スタンダードの海運会社兵機海運は、堂島汽船が実施していた株式の公開買い付け(TOB)が12月5日に終了したと発表した。

堂島汽船が買い付けたのは、兵機海運の発行済み株式のわずか1.24%(議決権ベース)にとどまったという。兵機海運はこのTOBに真っ向から反対し、取引先や労働組合も反発を強めていた、とされる。

リリースだけでは底が見えないTOBだったが、堂島汽船の親会社である富洋海運の今後の動きが注目される。

【兵機海運】堂島汽船株式会社による当社株券に対する公開買付けの結果に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241206535292.pdf

「三菱重工」がフォークリフト子会社“三菱ロジスネクスト”を売却か

東証プライムの三菱重工業は、「当社および当社子会社に関する報道について」というリリースを出した。

日経電子版などが、上場子会社でフォークリフト製造の三菱ロジスネクストの売却手続きを進めている、とネットで記事を配信し、すでに複数の投資ファンドなどが買収に名乗りを上げていることも報じられている。

これに対し、三菱重工はリリースでは「当社が発表したものではありません。本報道の件を含め、当社の事業ポートフォリオについては様々な可能性を検討していますが、現時点で決定した事実はございません」と声明。

三菱ロジスネクストの2024年3月期の売上高は7017億円で、三菱重工は全体の64.59%の株式を持っている。

【三菱重工業】当社および当社子会社に関する報道について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241206534942.pdf

(平日連載、2024年12月9日公表分に続く)

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