“穴熊”なら一生、日本から出国できない?
その残りの30人はどうなったのか。全員が日本人で、米国で起訴された状態で、日本国内にとどまっているとみられるのだ。自動的に国際指名手配されている可能性が高いため、渡米は厳禁。一歩でも国外に出れば、第三国であっても逮捕され、米国に移送される恐れがある。
「穴熊」とも呼ばれるこの立て籠もり作戦を選んだ場合、日本国内で生活し、仕事を続ける分には支障はほぼない。ただし、起訴された以上、最悪の事態として、米当局が日米犯罪人引き渡し条約に基づき、日本側に身柄の引き渡しを求めてくる可能性がある。
自動車部品カルテル事件に関しては、米当局が動いているとのうわさは多少あったものの、現時点までに具体的な引き渡し請求は確認されていない。事件は2010年2月の各国競争当局による一斉立ち入り調査で表面化したが、すでに時間が経過していることもあり、今後も引き渡し案件が出てくることは考えにくい。
ただ、そうであっても、この30人の日本人は、引き渡しのリスクを考えれば死ぬまで穴熊を決め込むしかないのだ。
司法取引に応じてほぼ自動的に収監されるか、それとも引き渡しリスクを抱えながら日本国内にとどまり続けるか。事件に関与した個人は、まさに“究極の選択”を突き付けられる形となった。
定年間近なら、穴熊作戦を選択してもあまり不都合は生じないかもしれない。それに対し、若手の場合は、司法取引に応じてカルテル事件なら平均的な1、2年間、米刑務所で服役し、再び会社に復帰して再起するのが得策とも言える。
司法取引の中で、服役後は再び自由の身が保証されるため、米国出張も可能となる。また、米国で処罰を受けたとしても、日本国内で前歴がつくわけではない。
ただいずれにしても、会社のため、家族のため、自己実現のために働いてきたビジネスマンにとっては、過酷すぎる現実だ。
日本人ビジネスパーソンが受けた驚愕の米当局による取り調べ(続きを読む方は会員登録を)