【2025年2月13日「適時開示ピックアップ」】インターアクション、ライオン、レゾナックHD、ホンダ、日産

2月13日の東京株式市場は続伸した。日経平均株価は前日比4497円値上がりし、3万9461円で引けた。外国為替市場の円安傾向を好感した。そんな2月13日の適時開示は、2025年3月期第3四半期決算の発表もあって1359件と多かった。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。

「インターアクション」配当方針を“自己資本配当率DOE基準”に変更

東証プライムで精密機器のインターアクション(横浜市)は、株主に対して配当を出す方法について、総還元性向30%以上という従来の指針から、新たに連結自己資本配当率(DOE=Dividend on equity ratio)を4%以上に切り替えると発表した。

総還元性向はその年の当期純利益によって配当が大きく変わるが、DOEは自己資本(株主資本)をベースとなるため、年による変動は利益ほど変動しない。その分、投資家は安定した配当を得ることができる。

実際、2年ほど前から上場企業でDOEを採用する企業が目立ち始めている。野村不動産ホールディングスダイセルグンゼなど業界も多岐にわたっており、今後も増えそうだ。

【インターアクション】株主還元方針の変更(DOE指標導入)に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250213572023.pdf

「ライオン」社外取締役の松﨑正年コニカミノルタHD元社長を取締役会議長に

東証プライムのトイレタリー大手、ライオン(東京・蔵前)は3月28日の定時株主総会後の取締役会議長には、社外監査役から社外取締役に就任する松﨑正年・元コニカミノルタホールディングス社長を充てる人事を明らかにした。同社出身で、これまで議長を務めてきた掬川正純会長は退任する。

取締役会議長については、現在、社内昇格の会長が務めるケースが一般的とされるが、経済産業省が2022年7月に公表した「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」では、議長は「客観的な評価という観点からは、業務執行者以外が務めることが望ましい」との指摘が盛り込まれている。

ライオンは今年から、社外取締役が取締役会議長を務めることで、経営の監督の客観性および意思決定の透明性を高めることできると説明している。

【ライオン】代表取締役および取締役会議長の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250212571592.pdf

総合化学「レゾナックHD」が“相談役”制度を廃止

東証プライムの総合化学、レゾナック・ホールディングスはは3月26日の定時株主総会で定款を変更し、相談役制度を廃止することを決めた。

元社長や元会長などが就く相談役については、企業の意思決定において不透明感が指摘されてきた。東証が上場各社に開示を求めているコーポレートガバナンス報告書では、「一律に良い・悪いというものではない」という前提を示しながらも、人数や報酬などの待遇について自ら開示するよう促している。

中居正広氏の女性トラブルをきっかけに、フジテレビジョンおよびフジ・メディア・ホールディングスで長年経営トップを務めた日枝久氏が厳しい批判に晒されているが、同氏が現在も「取締役相談役」としてボードメンバーに加わっていることも、その理由のひとつとなっているのは周知の通り。

取締役に就いているかどうかもさることながら、功労の色合いが濃い相談役制度は日本独自のシステムといえ、コーポレートガバナンスの点からも合理的な説明が求められるポジションと言えよう。

【レゾナック・ホールディングス】定款一部変更に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250212571796.pdf

「ホンダ」vs.「日産」大型統合“破断”で問われるトップの覚悟

東証プライムのホンダ(本田技研工業)と日産自動車は、経営統合に向けた協議を打ち切るというリリースを出した。

リリースによると、当初、ホンダが社長を指名して取締役の過半数を出すものの、持ち株会社をつくって両社が完全子会社になる体制を想定していた。ところが、ホンダが親会社、日産が子会社になる案をホンダが提案してきたと説明。

「意思決定、経営施策実行のスピードを優先するためには、本経営統合の実行を見送ることが適切であるとの判断に至った」としている。

一部では“世紀の統合”とも言われた両社による統合協議は2カ月足らずで終わった。記者会見までして広くアピールした両社の経営トップはどこまで真剣だったのか。ガバナンスの在り様も含めて、今後、その信頼性が問われそうだ。

【ホンダ、日産自動車】本田技研工業株式会社(証券コード 7267)と日産自動車株式会社(証券コード 7201)との 共同持株会社設立(共同株式移転)による経営統合に向けた検討に関する基本合意書解約のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250212571197.pdf

(平日連載、2月14日公表分に続く