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【2025年1月21 日「適時開示ピックアップ」】AOKIHD、窪田製薬HD、小林製薬、中部鋼鈑、三菱ケミカル

1月21日火曜日の東京株式市場は続伸した。日経平均株価は前日から125円値上がりし、3万9027円で引けた。トランプ米大統領の関税引き上げに関する見方から一時前日比を大幅に下回る時もあったが、その後、市場は落ち着きを取り戻した。そんな21日の適時開示は121件。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。

「AOKIHD」子会社のネットカフェ“快活CLUB”で個人情報流失

東証プライム上場で紳士服のAOKIホールディングス(HD、横浜市)は 、完全子会社の快活フロンティアが不正アクセスを受け、顧客情報の一部が漏えいした可能性があると発表した。

外部漏えいした可能性があるのは、ネットカフェの「快活CLUB」会員および非会員の氏名、性別、住所、電話番号、生年月日などで、対象個人情報データの総件数は調査中とのこと。

一方で、身分証明書情報(運転免許証等)、クレジットカード情報、メールアドレスは今回、不正アクセスを受けたサーバーとは異なるため、情報漏えいの可能性のある個人情報には含まれていないとしている。

縮小するネットカフェ業界だが、快活CLUBは鍵付き完全個室の完備など、独自のサービスで好調を維持している。2024年6月末現在で486店舗を展開している。

【AOKIホールディングス】連結子会社における不正アクセスの発生及び個人情報漏えいの可能性に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250121553444.pdf

眼科ベンチャー「窪田製薬HD」会長が“株価低迷”で報酬辞退

東証グロース上場の窪田製薬ホールディングス(HD、東京・港区)は、会長でもある窪田良・社長兼CEO(最高経営責任者)が 2024年度の業績連動報酬の受け取りを辞退したと公表した。

「株価低迷を真摯に受け止めた」との理由で、今後の経営改革に対する決意を示したと説明している。

窪田製薬HDは、眼科医療のベンチャー企業で、近視矯正の「クボタメガネ」という独自の眼鏡を開発しているが、16年12月に上場して以来、株価の下落傾向が続いている。

【窪田製薬ホールディングス】代表取締役の業績連動報酬の辞退に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250121553268.pdf

「小林製薬」社長交代と“社外取締役の法令違反はない”と明言

東証プライム上場で、紅麹サプリメントの健康被害問題を起こした小林製薬は社長交代を含む役員人事など3本のリリースを発表した(本誌関連記事)。

昨年8月に専務らから社長に就任した山根聡氏が半年足らずで退任、後任社長には執行役員国際事業本部長の豊田賀一氏が就く。小林製薬は「経営体制の刷新を行うため」と説明している。この他の人事では、新会長に京セラの元執行役員で、故稲盛和夫氏のもと、日本航空(JAL)の経営再建に取り組んだ大田嘉仁氏を充てる。

また、コーポレートガバナンスの専門家として知られ、「ミスター社外取締役」の仇名もある伊藤邦雄・一橋大名誉教授も退任する。2013年から10年以上のながきにわたって同社の社外取を務める伊藤氏をめぐっては、「社外取締役として十分な役割を果たせなかった」との批判も出ている。

これらのほか、伊藤氏を含む7人の社外取に対して、投資ファンドのオアシス・マネジメントから損賠賠償を求める提訴通知が出されていたが、1月20日開催の取締役会で、監査役4人全員一致の意見として「取締役としての善管注意義務違反を含む法令違反は認められない」との報告を受け、不提訴理由通知を送付した。

このほか、オアシスによる3人の社外取締役の株主提案についても、21日に発表した新たな取締役会のメンバーを提案すること強調したうえで反対する方針を示した。なお、臨時株主総会は2月19日に開催される。

【小林製薬】
代表取締役及び取締役の異動に関するお知らせ

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250121553120.pdf
株主からの提訴請求への対応について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250121553108.pdf
臨時株主総会の開催及び株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250121553114.pdf

「中部鋼鈑」名古屋の製鉄所で水蒸気爆発

東証プライム上場の中部鋼鈑(名古屋市)は12日午前7時45分頃、名古屋・中川区の製鋼工場で水蒸気爆発とみられる火事が起きたと発表した。

建屋が損傷したがけが人は出ていない。同社のホームページによると、同社は市街地にあるコンパクトな製鉄所で、電炉や厚板の鋳造設備がある。

【中部鋼鈑】製鋼工場における事故に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250121553315.pdf

「三菱ケミカル」子会社・田辺三菱製薬売却の日経報道受けコメント

東証プライムの三菱ケミカルグループは「当社に関する一部報道について」とのリリースを1月21日午前8時30分に出した。

日本経済新聞が同20 日から 21 日にかけて、医薬品子会社の田辺三菱製薬の売却にむけ、米投資ファンドのベインキャピタルに優先交渉権を与えたことが判明、売却額は5000億円超えになると報道していた。

これに対し三菱ケミカルは「当社が発表したものではありません」としながらも、「売却を含めたあらゆる選択肢を念頭に置いてポートフォリオ改革を推進しております」とコメントしている。

ただ、三菱ケミカルは2020年に田辺三菱製薬を完全子会社したばかりで、経営陣の責任も問われる可能性がある。

【三菱ケミカルグループ】当社に関する一部報道について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250121552982.pdf

(平日連載、1月21日公表分に続く

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