1月15日水曜日の東京株式市場は14日から29円値下がりし、3万8444円で引けた。中国に対する米国の関税措置と、日本銀行の利上げを警戒する動きが広まり、売りが優勢となった。そんな15日の適時開示は180件。これらの中から、コーポレート・ガバナンスコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。この日は、自社の不祥事について「不正のトライアングル」の観点で原因分析を試みた企業もあった。
「サンテック」追加監査で1億5300万円の特損を計上
東証スタンダード上場で総合設備工事のサンテック(東京・千代田区)は、不適切な会計処理に伴い1億5300万円を特別損失に計上すると発表した。
サンテックでは昨秋、トンネルの照明設備の更新工事などで損益の期間を誤ったことが発覚。このため、会計監査人の訂正に関する追加監査の費用などが新たに発生した。
【サンテック】特別損失(訂正関連費用引当金繰入額)の計上及び2025年3月期第2四半期(中間期)業績予想値(連結・個別)と実績値との差異に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250109548636.pdf
「モンスターラボHD」1月開催予定の臨時株主総会を取りやめ
東証グロース上場で大企業や自治体向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業を手掛けるモンスターラボホールディングス(HD、東京・渋谷区)は、今年1月にも開く予定だった臨時株主総会の開催を取りやめると発表した。
第三者割り当てによる新株発行などに時間を要しているためと説明している。改めて今年3月の定時株主総会にかける予定だ。
【モンスターラボホールディングス】臨時株主総会招集のための基準日の取消し及び臨時株主総会の不開催に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250115550468.pdf
「奥村組」経費計上問題を“不正のトライアングル”から原因分析
東証プライムで中堅ゼネコンの奥村組は、工事の経費を別の工事に計上した問題で、社内調査委員会の報告書を公表した。
調査委は「不正のトライアングル」の観点から原因分析している。不正のトライアングルとは、米国の犯罪学者ドナルド・R・クレッシーが対象した理論で、不正発生の原因を①機会、②動機、③正当化という3つの要素に求めるというのもの。
奥村組は「動機とプレッシャー」の観点では、赤字転落の回避などを挙げた。「機会」は、チェック機能の無効化や人事が固定化とし、「正当化」では、課長や部長の指示があったことを指摘した。
調査委は、研修を重ねてコンプライアンス意識を向上させることや、適切な人事ローテーションといった再発防止策も示している。
分析は重要だが、どのように機能するコーポレートガバナンス体制を構築できるか。
【奥村組】社内調査委員会の調査報告書の受領及び再発防止策の策定等に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250115550974.pdf
「牧野フライス」同意なきTOB仕掛けた「ニデック」に延期要求
本誌既報の通り、ニデックから事前協議のない株式公開買い付け(TOB)を受けている東証プライム上場の牧野フライス製作所(東京・目黒区)は、ニデックに対し、TOBの時期を遅らせるよう要望したことを明らかにした。
ニデックは4月4日にもTOBを開始する予定としているが、企業価値が向上するかどうか、判断に時間がかかるためとしている。また、3月期決算の発表もあって検討時間の確保ができないとも主張。
そもそも、そのような時期を狙ってTOBを仕掛けてきた感もあるニデック。果たして、受け入れるかどうか。
【牧野フライス製作所】特別委員会による要望書送付のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250115551149.pdf
「三菱電機」産官学連携で研究費用1000億円を投資
東証プライムの三菱電機は、今後の研究開発戦略を公表した。社会課題を根底から解決する技術開発を目指し、社会や事業にインパクト与えていく方針を示している。
グリーンエネルギーなど環境問題の解決など産学官連携の研究費用として1000億円(24~30年度)を投資する考えだ。
【三菱電機】三菱電機の研究開発戦略
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250110549692.pdf
(平日連載、1月16日公表分に続く)