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【2025年1月10日「適時開示ピックアップ」】牧野フライス、ニデック、松屋、帝人、アクアライン、アイフリークモバイル

1月10日の東京株式市場は続落した。日経平均株価は前日比414円安の3万9190円で引けた。前日9日に決算発表した「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの急落が響いたという。ファストリの2025年3月期第3四半期決算は悪くなかったが、利益確定売りに押されたと見られている。

そんな10日の適時開示は462件。25年2月期の第3四半期の決算発表も多かった。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えて紹介。この日は、突然の会長辞任や予告なきTOB(株式公開買い付け)への対応、アクティビスト(モノ言う株主)の動向などをお送りする。

「牧野フライス」が「ニデック」の事前通告のないTOBを特別委で検討

東証プライムの工作機械メーカーで、ニデックによるTOBの予告を受けている牧野フライス製作所(東京・目黒区)は、特別委員会を設けて妥当性や公正性を検討することを決めた。このTOBは“同意なきTOB”として話題になっている。

同委の結果をもとに牧野フライスは賛否を決めると見られる。

特別委は、元トヨタ自動車工場長の増田直史氏はじめ、元熊本大学副学長で熊本学園大学大学院特任教授の山崎広道氏、元大和証券副社長の高橋一夫氏、横浜国立大学教授の高井文子氏の4人の独立社外取締役で構成。執行側の経営陣を排除することで、意思決定過程の透明性や客観性を確保するとしている。

【牧野フライス製作所】特別委員会の設置に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250110548851.pdf

「松屋」長期保有の株主優遇制度を新設

東証プライム上場の百貨店、松屋は長期保有株主向けの優待制度を新設すると発表した。

3年以上にわたり500株以上を継続保有する株主を対象に店舗で使える5000ポイント、2000株以上保有の株主に同1万ポイントを進呈するという内容。今年2月28日の株主名簿から適用する。

この数年、長期で持つ株主を優遇する制度を新設する企業が増えている。

【松屋】長期保有株主優待制度の新設に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250106546393.pdf

旧村上ファンド系が「帝人」をさらに買い増し

東証プライムの帝人は、1月10日付で、主要株主の異動があったと発表した。

この主要株主は、旧村上ファンド出身者が運用する投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメント(シンガポール)で、株式の割合が昨年11月21日時点は9.27%だったが、1月10日時点で10.33%と約1%上昇した。

エフィッシモはアクティビスト(物言う株主)として知られ、昨年から帝人株を買い増していることが顕在化。

一方、帝人はPBR(株価純資産倍率)が0.7倍で1倍を割り込んでいる。東証は1倍割れの企業に改善を求めており、今後、エフィッシモが圧力をかけてくる可能性がある。

【帝人】主要株主の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250110549545.pdf

不明朗取引「アクアライン」内部監査部門を2人体制に強化

加盟店との不明朗な取引が発覚した東証グロース上場の水回りサービス、アクアラインは、直近の3年分の内部統制報告書について、「開示すべき重要な不備」に該当し、有効ではなかったと訂正した(本誌既報)。

訂正報告書は、再発防止策として、内部監査部門の独⽴性の確保を盛り込んでいる。今後、内部監査部門に当たる経営監査部の部⻑の任命のほか、監査計画などついて、監査役会の同意を得たうえで、取締役会の承認をとって進めるという。

内部監査部門の⼈員はこれまでの1名から2名にするとしている。

【アクアライン】「内部統制報告書の訂正報告書」の提出に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250110549547.pdf

モバイルコンテンツ「アイフリークモバイル」会長が突然の辞任

東証スタンダード上場で、スマートフォンのコンテンツ事業などを展開するアイフリークモバイル(東京・新宿区)は、代表取締役の上原彩美会長が1月10日付で会長と取締役を辞任したと発表した。理由は「一身上の都合」で、本人から申し出があったという。

ただ、不可解なのは、同社ホームページ上に今年1月6日付で「2025年 代表取締役会長上原より新年のご挨拶」がアップされていること。〈2025年は、AIを活用したデジタル絵本や知育コンテンツの開発をさらに進め、未来を担う子どもたちに価値ある学びの体験を提供する1年にしたい〉とし、「AIコンテンツ時代のNo.1企業」を目標に掲げて抱負を述べていた。 

上原氏は2016年6月にアイフリーク社長に就任、昨年7月に会長に就いていた。また、昨年3月末時点で同社の1.54%の株式を保有する第6位株主で、「イノベーションあふれる女性経営者」としてコンサルタント会社から表彰されたこともある。

代表取締役の突然の異動はコーポレートガバナンスの観点からも気になるところだ。ちなみに、アイフリーク社の筆頭株主は永田浩一氏で、18.68%を保有している(24年3月末現在)。

【アイフリークモバイル】代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250110549635.pdf

(平日連載、1月14日公表分に続く

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