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【2024年10月8日「適時開示ピックアップ」】小林製薬、アドバンスクリエイト、バイタルケーエスケーHD、ENEOSホールディングス他

10月8日火曜日の東京株式市場は4日ぶり反落した。日経平均は3万8937円で取引を終えた。この日の適時開示は156件。この中からコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップし、周辺情報も交えてお送りする。

紅麹問題「小林製薬」執行役員と社外取締役らも一部報酬を辞退

■東証プライム上場の小林製薬は、紅麴原料を使ったサプリによる健康被害の問題を受け、計18人の役員が一部の報酬を辞退すると発表した。辞退するのは、常務執行役員1人と、執行役員9人、社外取締役4人、監査役4人。常務執行役員と2人の執行役員は月額報酬の20%を3カ月辞退する。他の役員は10%を3カ月の辞退。山根聡社長らはすでに月額報酬の一部を自主返上している。ただし、会長職を引責辞任したにもかかわらず、特別顧問に就任した小林一雅氏(84)に、月200万円の報酬が支払われることになっており、今後、オーナーを含む経営トップの責任、そして同社のコーポレートガバナンスが改めて問われそうだ。

【小林製薬】報酬の一部辞退に関するお知らせ
https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2024/20241008/

保険代理店「アドバンスクリエイト」KAMの対象で監査法人が指摘

■東証プライム上場で保険代理店業のアドバンスクリエイトは、代理店の手数料の売り上げに関する調査報告書を公表した。将来受け取る代理店手数料の金額を見積り、その割引現在価値合計額を売り上げとして計上していたが、計算システムの不備や担当者の誤解などがあったとしている。

そのうえで、意図的なものではなく、実態のない売り上げを計上するような指示などもなかったとの見解を示した。監査法人の指摘でシステムの不備などが発覚した。この手数料の見積もりは、会計監査において監査上の主要な検討事項(KAM)の対象となっていた。KAMは、会計監査の信頼性を高めるため、金融庁が2021年3月期から上場企業を対象に導入していた。

「バイタルケーエスケーHD」孫会社に公取委が立ち入り検査

■東証プライム上場で医療品など扱う総合商社。バイタルケーエスケー・ホールディングス(HD)は、公正取引委員会が完全子会社(孫会社)のアグロジャパンに立ち入り検査に入ったと発表した。アグロジャパンは、 山形県などが発注する動物用医薬品の入札に関し、独占禁止法違反の疑いが浮上している。「事態を厳粛かつ真摯に受け止め、公正取引委員会の検査に全面的に協力してまいります」とコメント。NHKの報道では、家畜用のワクチンをめぐって談合が行われていた疑いで公取委が動いているという。

「ENEOSHD」子会社のJX金属が上場申請

ENEOSホールディングス(HD)は、子会社のJX金属が東京証券取引所に株式上場を申請したと発表した。すでに昨年5月、上場準備に入ることを公表。上場によって「事業ポートフォリオ転換に必要となる投資や株主還元を機敏かつ確実に実行することが可能となる」と説明している。日経新聞などは、時価総額で7000億円を超えると報道している。

【ENEOSHD】JX金属株式会社の東京証券取引所への株式上場申請について
https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/tdnet/2508302/00.pdf

食品流通「エルアイイーエイチ」勝手に報酬引き上げか? 元社長を提訴

■東証スタンダードで食品の流通事業等を手掛けるエルアイイーエイチは、元代表取締役で社長だった福村康廣氏に対して総額約2億5000万円の損害賠償請求訴訟を起こしたと発表した。福村氏は、取締役会の承認を経ずに独断で自分の報酬を2020年4月から月額4000万円、2024年7月からは月額1億円に改定したという。これに対して、取締役会が2024年8月に報酬を2300万円と決議したが、福村氏は2億円を自分の口座に送金した、などとしている。株主から提訴請求があった。

【エルアイイーエイチ】当社の元代表取締役福村康廣氏に対する損害賠償請求訴訟の提起に関するお知らせ
https://pdf.irpocket.com/C5856/EAzE/OXav/Txp5.pdf

ワールドなどが「ライトオン」をTOB

■東証スタンダード上場でジーズンなどカジュアル服専門店のライトオンは、同社に対する公開買い付けについて発表した。買い付けるのは、W&Dインベストメントデザインで、ライトオンは賛同意見を表明した。株主が応募するか否かについては、中立の立場で株主の判断に委ねるとしている。W&D社は、アパレルのワールドの子会社と日本政策投資銀行が50%ずつ出資する会社。公開買い付けの説明によると、ライトオンは創業家依存型マネジメントの機能不全や、現場レベルでのコスト意識の欠如などの経営課題があった。今後、ワールドグループの機能を活かして構造改革を実施し、赤字店舗の閉鎖や従業員の配置転換を検討するという。

【ライトオン】株式会社 W&D インベストメントデザインによる、 当社株式に対する公開買付けの開始予定に関する意見表明、 有限会社藤原興産を割当予定先とする第三者割当による新株式発行、 並びに主要株主である筆頭株主及び支配株主の異動に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7445/tdnet/2508351/00.pdf

CoCo壱番屋で顧客情報漏れる

■東証プライム上場で「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋は、172件の顧客情報が流出したと発表した。同社のホームページの「出張販売問合せフォーム」に入力した顧客の情報で、サーバーに不正アクセスがあった。流出した情報は、メールアドレスや電話番号、名前などで、この情報が不正に利用された形跡はない。同社は「被害が拡大することがないよう努めてまいります」と陳謝した。

【壱番屋】お客様の個人情報の流出について
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7630/tdnet/2508360/00.pdf

(平日連載、2024年10月9日公表分に続く)

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