【2024年10月3日「適時開示ピックアップ」】ダイドーリミテッド、すかいらーく、理研コランダム、キューピー 他
10月3日の東証株式市場は反発した。金融政策をめぐる石破茂首相の発言が揺れ、それに合わせて為替や株式市場も揺れている。そんな、この日の適時開示は133件。この中からコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップし、周辺情報も交えてお送りする。
ダイドーリミテッド「村上世彰氏」の意見などで大幅減資
■東証スタンダードに上場し、「ニューヨーカー」などのブランドを展開するアパレル、ダイドーリミテッドは、資本金や資本準備金、利益準備金を減額すると発表した。資本金の約68億9000万円を1億円に、資本準備金の約31億4000万円を2500万円、そして利益準備金9億6000万円を0 円にする。減った分は、その剰余金に振り替えるとし、「今後の資本政策の機動性を確保することが目的」という。正式には12月17日の臨時株主総会で決定する予定。
ダイドーリミテッドは今年7月、2025年3月期の年間配当を1株当たり100円にすると発表した。当初は5円の見込みだった。同社が7月4日に開示した増配に関するリリースによると、ダイドー株を持つ南青山不動産と、そのグループ会社の大株主である村上世彰氏と面談。その結果、村上氏の意見などを参考にして株主還元の強化を決めたとしていた。ダイドーリミテッドは営業赤字が続き、配当の減資の捻出が迫られていた。
【ダイドーリミテッド】資本金、資本準備金及び利益準備金の額の減少 並びに臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ
https://www.daidoh-limited.com/pdf/2024/20241003_01.pdf
再上場から10年「すかいらーくグループ」が好調決算
■東証プライム上場でファミリーレストランを展開するすかいらーくホールディングスは、1~9月分の売上高などを公表した。コロナ禍が過ぎ、全体の売上高が前年同期比10.0%増と好調だった。同社は2000年代に経営が悪化し、MBO(経営陣による買収)で2006年9月に上場廃止になっていたが、ファンドのもとで経営を立て直して14年10月に再上場していた。店舗数は今年9月現在で2972店。このうち最も多いのが「ガスト」で1247店、次は「バーミヤン」の361店となっている。レストランブランドの「すかいらーく」は2009年に幕を閉じたが、依然、社名として使っている。
【すかいらーくホールディングス】2024年9月度 すかいらーくグループIRレポート(速報値)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3197/tdnet/2507269/00.pdf
上場廃止「理研コランダム」交渉で親会社オカモトのTOB価格が大幅増
■東証スタンダード上場で研磨技術を持つ理研コランダムは、株式の公開買い付け(TOB)の成立に伴って今年11月15日に上場廃止になる見通しだと発表した。親会社でプラスチックフィルムやコンドーム製造のオカモトが今年8月にTOBの開始を発表。理研コランダム側も賛同していた。TOBの結果、オカモトの所有割合は52%から91%になり、今後、100%子会社になる予定だ。オカモトは「完全子会社化により、技術者の人材交流や技術情報の共有が容易となり、さらなる技術力の向上が見込まれる」としている。
しかし、波乱だったのがTOB価格。最終的に1株あたり5100円になったが、当初、オカモトは3800円を提示してきた。理研コランダム側は「少数株主の利益に十分に配慮された金額とはいえない」と難色を示し、交渉を重ねた結果、5100円になった。
【理研コランダム】オカモト株式会社による当社株式に係る株式売渡請求を行うことの決定、 当該株式売渡請求に係る承認及び当社株式の上場廃止に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/5395/tdnet/2507203/00.pdf
「東葛HD買収」でオートバックスがホンダのディーラーに
■千葉県でホンダ車のディーラーを営む東証スタンダード上場の東葛ホールディングス(HD)は12月開催の臨時株主総会を招集するための基準日を10月21日に決めた。東葛HDは、カー用品のオートバックス・ディーラーグループ・ホールディングスが8月に実施したTOBで同社の子会社化が決まり、上場廃止になる見通しだ。オートバックスが全株式を保有するため、株主総会を実施する。
このTOBは、自動車業界で「オートバックスが国内メーカー車の販売事業に乗り出す」と話題を呼び、実際、オートバックスは輸入車の販売事業を始めている。
【東葛ホールディングス】臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ
https://www.tkhd.co.jp/pdf/000/59005.pdf
値上げ奏功で「キユーピー」が増収増益
■東証プライム上場のキユーピーは、2025年11月期の第3四半期決算(2023年12月~2024年8月)を発表した。売上高は前年同期比7%増の3609億円で、純利益は同78%増の197億円だった。増収の理由についてキユーピーは、海外で成長が続くほか、調味料や惣菜の販売が回復したことや、「価格改定による単価上昇」としている。
キユーピーは昨年から、マヨネーズやベビーフーズなど幅広い食品で数%~20%以上も断続的に値上げしていた。値上げの理由について、原材料価格やエネルギー費の上昇などを挙げ、「厳しい環境の中、企業努力だけでコスト上昇分を吸収することは極めて困難」としている。
【キユーピー】2024年11月期 第3四半期決算短信
https://www.kewpie.com/ir/pdf/kessan_tanshin/2024/ir_20241003_FY2024q3_tanshin.pdf
(平日連載、2024年10月4日公表分に続く)
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