アゴーラホスピタリティー“大阪万博”で株価急騰も監査役候補が辞退【2025年3月18日「適時開示ピックアップ」】

東証スタンダード上場で全国でホテルを展開、目下株価が急騰しているアゴーラホスピタリティーグループ(東京・港区、ウィニー・チュウ・ウィン・クワン代表チェアパーソン)は3月17日、監査役候補者1名から選任辞退の申し出があったことを発表した。

監査役はコーポレートガバナンスの要だけに、定時株主総会までの約1週間で後任候補を見い出すことはできるのか――。

“拓銀→みずほ証券”の社外監査役候補が「一身上の都合」で

今回、「一身上の都合」で監査役選任を辞退したのはウォン・ワイ・リン・ビュエン(Veanne Wai Ling Wong)氏。定時株主総会の招集通知によると、1968年生まれで90年に世界4大会計事務所「ビッグ4」の一角、PwCにタックス(税務)コンサルタントとして入社したことがキャリアの振り出しのようだ。

その後95年、旧北海道拓殖銀行に入行したものの、97年11月に拓銀は破綻。翌98年8月にみずほセキュリティーズアジアリミテッド(みずほSA)に入社、99年には取締役、03年にはCOO(最高執行責任者)、10年にはCFO(最高財務責任者)、13年からはCOOとCFOを兼務するポジションにあったという。

21年5月からはステラ コンサルティング グループCEO(最高経営責任者)を務めていると、招集通知にはある。

このようなビュエン氏の経歴からアゴーラ側は監査役の「選任理由」を下記のように記載している。

〈PWC社入社後、対日投資を目的とする金融機関、個人、企業に対し税務コンサルティング・サービス業務に従事した後、金融機関において取締役CFO、COOとして、人事、総務、経理、財務、リスク管理、オペレーション、IT部門を管掌し、企業経営に関する豊富な経験と知見を有しております。現在、ステラコンサルティング社CEOとして、金融機関や欧州のコングロマリットを中心に中国投資に関するコンサルティング業務に従事しております。税務コンサルティング、金融機関での豊富な経営経験を活かし、財務および会計に関する専門的な知見を有していることから、当社の海外事業の業務執行のモニタリングなど、幅広い観点から監査業務を適切に遂行することができるものと判断し、新任の社外監査役候補者といたしました〉

ちなみに、みずほSAについては、みずほフィナンシャルグループのサイトなどによると、香港にあるみずほ証券系の海外拠点で、設立はビュエン氏の入社より8カ月後の99年4月30日とある。他方、ステラコンサルについては特定できなかった。

役員の半数はカタカナ名

ところで、このアゴーラ、ボード(取締役)メンバーに多様性が求められる時代を反映するかのように、国籍の詳細は不明ながら、カタカナ名の役員が並んでいる。

筆頭の代表取締役は「チェアパーソン」なる肩書のウィニー・チュウウィン・クワン氏(80年4月生まれ)、代表権のない取締役のシャン・チューピン氏(62年8月生まれ)が社長兼CEO(最高経営責任者)を務め、社外取締役にはクラレンス・ウォン・カン・イェン氏(70年12月生まれ)とアンジェリーニ・ジョバンニ氏(45年9月生まれ)。これら取締役に加え、非常勤監査役にチェン・ワイハン・ボズウェル氏(70年9月生まれ)と、取締役・監査役10名中5名がカタカナ名の人物なのだ。

そのような経営陣の中、今回の株主総会でジョバンニ氏に代わってビュエン氏が社外監査役に就任する予定だった。