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【2025年1月31日「適時開示ピックアップ」】牧野フライス、ニデック、日本製鉄、山陽特殊鋼、日本ガイシ、TOTO

1月31日金曜日の東京株式市場は続伸した。日経平均株価の終値は前日から58円値上がりし、3万9572円で終えた。前日の米国株上昇の流れを引き継いだ。そんな31日の適時開示は、2025年3月期の第3四半期決算の開示も始まったため、825件と多かった。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。

「牧野フライス」vs.「ニデック」TOBめぐり書簡で応酬続く

東証プライムの牧野フライス製作所は1月31日、ニデックの株式公開買い付け(TOB)に対し、再度、要望書を送ったと発表した(本誌関連記事)。

要望の内容は、①TOBの開始日(4月4日)を5月9日まで延長する、②買い付けの下限(50%以上)について(株主に強圧性を与えないために)3分の2以上に拡大すること、③競合する提案を委縮させるかのような言動を行わないこと――の3点。

これに対しニデックも同日、1月28日付で牧野フライスから出された60項目以上にわたる質問状に対する回答を公表した。例えば、両社のシナジー効果について、牧野側の高い加工技術とニデックの歯車加工などの技術力を組み合わせることで〈新たなビジネスを創出する可能性が広がる〉などと回答している。

さらにニデックは、牧野側が問いかけてきた「競合提案を委縮させるような言動」について説明。この言動とは、ニデック創業者で代表取締役グローバルグループ代表(取締役会議長)の永守重信氏による『日経ビジネス電子版』(24年12月27日)インタビューでの下記の発言を指す。

「(今回のTOB の対抗者が出てきた場合)その相手に対してTOB をかけてもいいとさえ思っています」

この発言について、ニデック側はリリースで〈日本企業が世界の競合との戦いに勝ち抜くためには貴社の高度な技術力が必要であることから、そのためには本公開買付けをやりぬく覚悟が必要であるという意気込みを表したもの〉と説明し、競合の出現を委縮させる意図であることを否定した。

【牧野フライス製作所】当社取締役会からニデック株式会社に対する要請書の送付に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250131559574.pdf
【ニデック】株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)からの質問状に対する回答書提出に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250131560334.pdf

「日本製鉄」が「山陽特殊鋼」を完全子会社化へ

東証プライムの日本製鉄は、同じく東証プライムの山陽特殊鋼を完全子会社化するため、TOBを始めると発表した。日本製鉄はすでに52.98%を保有しており、山陽特殊鋼も賛同し、応募を推奨している。

二酸化炭素の削減に向けて技術力を高め、原料調達や海外でも一体的に事業を展開する考えだ。TOBにかかる費用は約700億円を見込む。

ちなみに山陽特殊鋼は、山崎豊子の小説『華麗なる一族』のモデルとされ、テレビドラマにもなった。山陽特殊鋼は乱脈経営で1965(昭和40)年に一度、倒産している。

【日本製鉄】山陽特殊製鋼株式会社株式(証券コード 5481)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250116551656.pdf
【山陽特鋼】当社親会社である日本製鉄株式会社による当社株式に対する 公開買付けに係る賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250130559113.pdf

「日本ガイシ」4月1日から社名を「NGK」に変更

東証プライムの日本ガイシは4月1日から、NGKに社名変更すると発表した。なお、日本ガイシは、英文やグループ名としてすでに「NGK」の名称を使っている。

今回の社名変更について、和文と英文の表記を統一し、「セラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献するというビジョンの実現を目指す」と説明し、国内外におけるブランドの浸透を図る考えだ。

【日本ガイシ 】商号の変更に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250130558408.pdf

「TOTO」5年ぶりに社長交代 

東証プライムのTOTOは4月1日付で、清田徳明社長が代表権のある会長に退き、田村信也・取締役専務執行役員を新社長に充てる人事を発表した。

会長になる清田氏は2020年4月に社長に就任。20年3月期の売上高5965億円から、25年3月期の売上高(見通し)を7300億円まで引き上げた。また、米国でウォシュレットの普及に取り組み、この10年近くで販売台数は5倍になっているという。

田村氏は1991年に九州大大学院の総合理工学部修士課程を修了し、TOTOに入社。ウォシュレット企画部長などを経て、ベトナム、米国の現地法人の社長を務めた経験も持つ。

中国市場の減速や米国の関税率の引き上げの動きなど不透明な先行きの中、米国や中国、台湾など海外でのウォシュレットを普及できるかどうかが同社の今後の業績のカギを握っている。

【TOTO】会長、社長および代表取締役の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250131559859.pdf

(平日連載、2月3日公表分に続く

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