【2024年12月4日「適時開示ピックアップ」】日本ビジネスシステムズ、アクアライン、フジプレアム、スターゼン、南海電鉄
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12月4日水曜日の東京株式市場は小幅続伸した。日経平均株価の終値は前日比27円高い3万9276円だった。韓国の「非常戒厳」は解除されたが、これが微妙な影響を与えたとの見方もあり、方向感が定まらない展開となった。そんな4日の適時開示は161件だった。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。
「日本ビジネスシステムズ」ケイマン株主が総会“検査役”申し立て
東証スタンダード上場でデジタルソリューションに強い日本ビジネスシステムズは、東京地方裁判所が株主総会の検査役として東京富士法律事務所の足立学弁護士を選任したことを公表した(本誌既報)。
同事務所のホームページによると、足立氏は2004年10月に弁護士登録。事業再生や企業の危機管理を専門にしている。
検査役の選任を申し立てたのは、ケイマン諸島にある「Global ESG Strategy」 (グローバル イー・エス・ジー ストラテジー、GES) で、代表者として「ディレクター 門田泰人」との氏名が開示されている。
株主総会は12月20日で、6件の株主提案が出されている。その内容は、配当の増額や、定款に資本コストを意識した経営への対応を新設することなどで、会社側は「過剰な配当金の要求は長期的な成長を阻害する」「(資本コストを意識した経営などの)経営計画は取締役会が決定すべき事項」いずれも反対している。
GESがアクティビストかは不明だが、“物言う”株主への対応力が問われる事態は、今後も増加しそうだ。
【日本ビジネスシステムズ】株主総会検査役の選任に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241204534208.pdf
「アクアライン」不明朗取引発覚を受け“一時会計監査人”選任
東証グロース上場で水回りの修理サービスを手掛けるアクアラインの監査役会は、「HLB Meisei有限責任監査法人」を一時会計監査人に選任したと発表した。これまでの監査法人やまぶきの契約は終了する。
アクアラインでは、加盟店との不明朗な取引が発覚。今年9月18日に特別調査委員会が、経営陣のコンプライアンス意識の希薄さなど原因とする報告書をまとめていた。監査法人やまぶきは、監査が終了していないとして「意見不表明」の措置をとっていた(本誌既報)。
会社法346条では、緊急的な措置して監査役会が一時的に会計監査人を選任できるようにしている。本来であれば、会計監査人は株主総会で選任される。
【アクアライン】公認会計士等の異動及び一時会計監査人の選任に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241204534352.pdf
兵庫「フジプレアム」連結子会社元社長の“退職金”を取りやめ
東証スタンダード上場で、電子機器や住設機器、建材向けのフィルムをつくるフジプレアム(兵庫・姫路市)は、連結子会社の元社長を対象にした退職金を取りやめると発表した。これを受け、2億4000万円を特別利益に計上するという。
対象となったのは、2024年3月に子会社となった東陽社製作所で、当初、子会社化以前の社長について退職金の支払いを予定し、未払い金として計上していたという。
取りやめた理由は判然としないが、フジプレアムからそれ以上の説明はなかった。
【フジプレアム】連結子会社における退職金の支払い取りやめに伴う特別利益の計上に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241202533144.pdf
「スターゼン」豪州畜産会社を買収
東証プライムで食肉卸大手のスターゼンは、豪州の畜産会社を買収すると発表した。豪州の牛肥育企業の親会社「YORKRANGE Pty Ltd」の全株式を取得する。
スダーセンは2023 年度からスタートする中期経営計画で「海外事業の強化」を掲げ、豪州産の牛肉の取り扱いを拡大する方針。「豪州Wagyuなどの牛肉を軸とした供給力の増強を目指し」「将来的に日本産和牛の生産頭数減少が懸念される中、豪州Wagyuのサプライチェーンを強化する」と説明、給餌飼料や肥育方法を改善して品質を高め、ブランド牛の価値を高める考えだ。
独立行政法人農畜産業振興機構のホームページによると、1990年代に和牛の生体などが米国を経由して豪州に持ち込まれ、その後、国内外の高級志向の消費者をターゲットにしたさまざまなWagyuの改良増殖の取り組みが行われているという。
【スターゼン】豪州の牛肥育農場関連企業の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241204534152.pdf
「南海電鉄」なにわの象徴“通天閣”を買うたで!
東証プライムの南海電気鉄道は、通天閣を管理・運営する通天閣観光の70.8%の株式を取得して子会社化すると発表した。
通天閣は1956年の完成で、国の登録有形文化財にもなっている。近くには串カツの人気店が並んだジャンジャン横丁もあり、大阪有数の人気スポット。
南海電鉄は、通天閣観光の玄関口となる新今宮駅周辺の賑わいづくりに取り組んでいるという。今後、周囲の観光施設と連携を強め、「グレーターなんば」構想などを推し進めるとしている。
通天閣観光の2024年3月期の売上高は約15億円で、4億9000万円の当期純利益を計上している。
【南海電気鉄道】通天閣観光株式会社の株式取得に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241204534180.pdf
(平日連載、2024年12月5日公表分に続く)
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