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【メキシコ弁護士特別寄稿】メキシコ「マネロン防止法改正案」と暗号資産規制の影響《後編》

まとめ

メキシコのAML改正案は、複雑化する違法金融への対応であり、FATFの勧告および相互評価を通じて示される国際社会の執行強化要請に応えるものです。2024年に上院から提出された本改正案は、重要な転換点を示しています。本改正案は、技術的コンプライアンスやAML/CFT上のギャップを解消するのみならず、FATFの国際基準に整合した効果測定可能な枠組みの導入・浸透を目指しています。

メキシコでの事業展開を目指す外国企業にとって、これはコンプライアンス上の課題であると同時に、目的と透明性を備えた規制強化が進む市場への参入という好機でもあります。報告義務、実質的所有者の識別、監査要件などを含む各種要件について、メキシコのAML/CFT義務への完全な準拠が求められます。

さらに、メキシコ政府が域外適用の方針を明確にしていることは、外国企業に対し、管轄リスクの評価と統合的なコンプライアンス戦略の策定を促すものとなります。こうした状況に積極的に対応し、適切なビジネスモデルの構築に注力することで、外国企業は、イノベーション、コンプライアンス、誠実性が共存することが期待されるメキシコの新興デジタル金融市場において、信頼できるサービス提供者としての地位を確立することが可能となるでしょう。

(了)