第7の重大リスク:法的手続の不備による無効化リスク
形式不備ひとつで解雇が無効に。正確な手続遵守が不可欠
手続き上のミスひとつで、正当な解雇理由であっても無効となる可能性があり、損害賠償や訴訟リスクを招くおそれがあります。以下4つのポイントをおさえることが重要です。
1.予備面談(すべての解雇で必須)
フランス法では、すべての解雇に先立ち、予備面談を行うことが義務付けられています。
合意解約(MTA)の場合も例外ではなく、面談を省略すると合意自体が無効となります。
この面談は社内担当者のみが実施可能であり、外部の弁護士やコンサルタントが代理で行うことは認められていません。従業員には、労使協議会の構造に応じて、社内の同僚または外部アドバイザーの同席を求める権利があります。
さらに、いずれか一方がフランス語に不自由な場合には、雇用主は通訳の手配をする必要があります。また、この面談の時点で解雇がすでに決定しているという印象を与えないよう、慎重な対応が求められます。
2.合意解約の手続き
合意解約(MTA)の手続きには、法定の厳格な手順と期限が定められています。これらの手順や期限に違反した場合、合意は無効とされる可能性があります。したがって、雇用主はすべての手順と期限を確実に守ることが求められます。
3.解雇通知書
- 解雇を通知する場合、必ず書面で行わなければなりません。口頭での解雇通知は法的に無効です。
- 通知書は、明確かつ客観的で、事実に基づく内容である必要があります。
- 記載内容に法的拘束力が生じるため、過度な詳細は避けるべきです。
- 通知は受領証付きの書留郵便で送付する必要があります。特に懲戒解雇の場合、事前面談から2〜30営業日以内に通知書を送付しなければなりません。
4.経済的理由による解雇の特則
- 予備面談の後には法定の待機期間が定められています。その期間は、非管理職は7営業日、管理職は15営業日となっています。
- さらに、当該ポジションが組織内から廃止されることを、雇用主が証明する必要があります。
- 解雇を実行する前に、たとえ異なる職種であっても、必要な研修を前提とした他の部署・職種への再配置の可能性を、フランス国内で積極的に検討する義務があります。
- 各再配置の提案は個別に提示され、勤務地・給与・勤務時間を明確に記載しなければなりません。
(了)
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