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宇宙飛行士ジョン・ヤング「変えなければ、もっと大きなリスクが伴う」の巻【こんなとこにもガバナンス!#2】

栗下直也:コラムニスト
「こんなとこにもガバナンス!」とは(連載概要ページ)

「変えなければ、もっと大きなリスクが伴う」
ジョン・ヤング(米国の宇宙飛行士)

1930~2018年。米サンフランシスコに生まれる。海軍パイロットを経て62年に米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士になった。65年にジェミニ3号で宇宙を初飛行し、72年に「アポロ16号」の船長として月面着陸。81年には初めて打ち上げられたスペースシャトル「コロンビア」で船長を務めた。NASAに42年間、勤務して74歳で引退。米公共ラジオ(NPR)の2004年のインタビューでは「人類の将来が地球ではなく宇宙にあることは明らかだ」と語っている。

宇宙飛行を6回経験したヤング

1968年にスタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」が公開され、翌年には人類は初めて月面に降り立った。当時、宇宙は今よりもはるかに近かった。それを体現していたのが「伝説の宇宙飛行士」と呼ばれたヤングだ。

月を歩いた人類は72年までに12人いるが、ヤングはそのひとりだ。月面着陸実現に向けた訓練として宇宙での作業を2人共同で行う「ジェミニ計画」、月面に有人宇宙船を着陸させる「アポロ計画」、繰り返し使用可能な宇宙往還機を使った「スペースシャトル計画」の3つの宇宙飛行計画で宇宙に行った唯一の飛行士でもある。宇宙飛行は83年まで計6回経験している。これは歴代3位の数字である。

60年代の宇宙開発は米ソ冷戦の産物だ。米国は57年、61年と世界初の人工衛星、有人宇宙飛行をソ連に先行された。61年5月、ジョン・F・ケネディ大統領は「60年代末までに飛行士を月に送る」と宣言したことがアポロ計画の強力な原動力になり、ケネディの死後も巨額の予算が投じられ続けた。

一歩間違えれば死ぬプロジェクト

宇宙と向き合うのは命懸けだ。未知の世界だが、手探りながらもソ連との競争でいち早く成果を出さなければいけない。成果を出すには過去のやり方に固執せずに、柔軟に変えるしかない。

そもそも一歩間違えれば死ぬプロジェクトである。上手くいかないときの現状維持は死に直結する。リスクを冒してでも変えることによって、より大きな危険を回避できる。命がけのミッションを遂行してきた彼の言葉は、組織を変える後押しになるだろう。

(月・水・金連載、#3に続く)

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