東証グロース上場で学習プログラム等を提供するEduLab(エデュラボ、東京・港区)は6月23日、同社の個人株主1名が元会計監査人だったあずさ監査法人に対して損害賠償を請求する株主代表訴訟が提起したことを発表した。
株主の訴えは、2021年9月期および22年9月期の監査について、特別調査委員会の設置、複数回にわたる調査および自主点検の実施など、必要な範囲を超えた監査証拠の収集を行ったことが会計監査人の善管注意義務違反に当たるというもの。監査報酬相当額である5億4330万6000円と遅延損害金をエデュラボ側に支払うことを求めている。
さらにこの個人株主は予備請求として、あずさが18年9月期ないし20年9月期の過年度における会計監査についても、監査報酬相当額9297万5000円と遅延損害金を同社に支払うことを求める内容だ。
調査が続く中、あずさは会計監査人を退任
エデュラボは21年8月2日に、あずさによる21年9月期第3四半期監査レビューの過程で、同社子会社と特定顧客の一部取引について調査が必要と指摘され、特別調査委を設置。同日、21年9月期第3四半期の決算開示の延期を発表した。
その後、新たに別の同社連結子会社と関連会社の取引についても疑義が発生。特別調査委が調査対象範囲を拡大し、21年9月16日に再び21年9月期第3四半期決算の延期が発表される。
それから1カ月後の21年10月15日に特別調査委は中間報告を提出。併せて過年度決算を訂正し、21年9月期第3四半期決算発表を実施した。その一方、あずさは21年9月期第3四半期報告書に対して「意見不表明」、16年9月期から20年9月期の過年度決算の監査報告書に対しても「意見不表明」および「結論不表明」のレビュー報告書を提出。エデュラボはあずさからの指摘を受け、特別調査委の調査を継続するとともに、自主点検を実施することを余儀なくされた。
そして21年11月26日には、あずさから21年9月期の監査報告書提出日をもって会計監査人を退任するとの通知を受けている。このとき、エデュラボ側は〈両者の信頼関係が低下していることも踏まえ〉、あずさとの監査契約を継続しない旨をリリースしている。