6月20日の日経平均株価は小幅に続落し、3万8403円で取引を終えた。そんな20日の適時開示は379件だった。
インサイダー取引の舞台は断念した「C&Fロジ」のTOB
東証プライム上場の物流、AZ-COM丸和ホールディングス(HD)は6月20日、金融商品取引法違反(インサイダー取引規制違反)が認められたとして、証券取引等監視委員会が同社元社員に対し課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告したことを公表した。
インサイダー取引の舞台となったのは、AZ-COM丸和が昨年2024年3月21日に公表した同業のC&Fロジホールディングス(当時、東証プライム上場)に対するTOB(株式公開買い付け)。このTOBに関する情報を公開前に知人に利益を得させる目的をもって伝達したという。
監視委によると、元社員から情報を得た知人は、TOB公表前の昨年1月30日と3月14日にC&F株式1000株を約180万円で買い付け、そしてAZ-COM丸和がTOBを公表したあとに310万円で全株売り抜け、約130万円の利益を得たとされる。課徴金は元社員に対し68万円、知人に対し136万円。
一方、AZ-COM丸和はリリースで、これまで「インサイダー取引防止規程」といったルールを定め、定期的に教育・研修等を実施するなどインサイダー取引の未然防止に向けた施策に取り組んできたとしたうえで、謝罪。また、元社員はすでに退職済みというが、今回の監視委の課徴金納付命令を受けて、懲戒解雇相当と通知し社内規定に沿って処分したとしている。
ところで、C&FのTOBをめぐっては、佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(HD)がAZ-COM丸和を上回るTOB価格を提示して対抗、同社は昨年6月、買収を断念した。その結果、最終的にSGHDによるTOBが成立し、昨年10月、C&Fは上場廃止となっている。
最近、大成建設をはじめ、自社の未発表上場を悪用したインサイダー取引規制違反が相次いでいる。
18:25【AZ-COM丸和HD】証券取引等監視委員会による元従業員に対する課徴金納付命令の勧告について
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